2003 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ボーイングを利用した広帯域対応擬似混晶半導体の作製
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15760004
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鍋谷 暢一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (30283196)
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Keywords | バンドギャップボーイング / 混晶 / 超格子 / 光デバイス |
Research Abstract |
ZnO、ZnS、ZnSeなどのII-VI族化合物半導体によって構成される混晶では、酸素原子の電気陰性度が他のVI族元素と比べて大きいために巨大バンドギャップボーイングが生じる。本研究は巨大バンドギャップボーイングを利用して幅広い波長範囲への応用が可能な光デバイス用半導体材料を作製し、その物性を調べることを目的とする。これまでにZnSSeO混晶をGaP(001)およびGaAs(001)基板上に分子線エピタキシーを用いて成長し、構造や光学特性の評価を行った。O原料にはRFプラズマセルによって活性化したOを、その他の元素は原料としてZn、Se、およびZnSを使用した。X線回折、電子線プローブマイクロアナライザによる構造評価の結果、GaP、GaAs基板どちらの場合でも結晶構造は閃亜鉛鉱構造であり、VI族元素の組成は、O_2流量、Seセル温度、ZnSセル温度によって制御可能であることがわかった。現在までに得られた最大O組成は約10%である。Sを含まないZnSeO混晶ではO組成が6%以上において結晶の相分離が生じたが、Sを取り入れることによって相分離の抑制が確認できた。これはZnOとZnSeの格子不整合が約18%であるのに対し、ZnOとZnSの格子不整合が約14%と小さいために結合長の差を低減できるためである。ホトルミネセンスや変調分光によって光学特性を測定した結果、混晶のバンドギャップはVI族組成に応じて変化することがわかった。VI族組成を制御することによって、GaPとほぼ格子整合を保ちつつ、バンドギャップを2.48〜2.75eVの範囲で制御できた。現在は結合長の違いによる歪エネルギーを低減するために、均一組成ではなく超格子による擬似混晶を作製する準備を進めている。原子レベルの歪エネルギー計算の結果、超格子構造においてZnOにはZnSが隣接するように設計することで歪エネルギーが大幅に減少することがわかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Nabetani, T.Mukawa, Y.Ito, T.Kato, T.Matsumoto: "Epitaxial growth and large band-gap bowing of ZnSeO alloy"Applied Physics Letters. Vol.83, No.6. 1148-1150 (2003)
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[Publications] W.Shan, W.Walukiewicz, J.W.Ager III, K.M.Yu, J.Wu, E.E.Haller, Y.Nabetani, T.Mukawa, Y.Ito, T.Matsumoto: "Effect of oxygen on the electronic band structure in ZnO_xSe_<1-x> alloys"Applied Physics Letters. Vol.83 No.2. 299-301 (2003)
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[Publications] Y.Nabetani, Y.Ito, T.Mukawa, T.Okuno, T.Kato, T.Matsumoto, T.Hirai: "MBE growth of ZnSSeO alloy using ZnS as a sulfur source"phys.stat.sol.(b). Vol.241 No.3. 595-598 (2004)
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[Publications] W.Shan, W.Walukiewicz, J.W.Ager III, K.M.Yu, J.Wu, E.E.Haller, Y.Nabetani: "Oxygen induced band-gap reduction in ZnO_xSe_<1-x> alloys"phys.stat.sol.(b). Vol.241 No.3. 603-606 (2004)