2003 Fiscal Year Annual Research Report
セルオートマトンによる群集避難行動の数理解析と防災応用
Project/Area Number |
15760047
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
西成 活裕 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (40272083)
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Keywords | セルオートマトン / パニック / 心理 / 避難 / シミュレーション / 集団行動 / 超離散 |
Research Abstract |
火災時など緊急事態におけるビルからの人々の避難計画は、建築設計上極めて重要であり、これまでさまざまな事例からの経験則をもとに定式化されてきている。しかし、実際の状況での実験が困難な事や、人間心理が関わっているために客観的な数理物理的手法による解析が適用しにくい事などが相侯って、現在の建築法規にある評価方法は決して満足できるものではない。そこで本研究では、セルオートマトンを用いて人間の行動をモデル化しパニック状況における人間心理を組み入れてシミュレーションすることで、実験不可能な様々な状況下での群集の行動を調べた。特にドア幅によって、人が逃げる際に、「協力」するのか、「競争」するのかで結果が大きく変わることを見出した。 本研究で提案するモデルはフロアフィールドモデルである。これは、生物学の化学走性(フェロモン)という概念を援用したもので、ここでは2種類のフロアフィールドを考える。一つ目は静的フロアフィールドで、これは扉までの距離情報を持つ場のことである。その計算はダイクストラ法を用いる方法を新たに開発した。もう一つは動的フロアフィールドで、人の通った跡を記憶する場で人の足跡の累積数を記憶しておく。パニック時ではこの動的フロアフィールドの値が大きい、つまり足跡の数の多いほうに人は進む傾向がある。動的フロアフィールドは記憶を持った場と考えられ、フェロモンに相当する新しい概念である。これにより、人どうしの遠距離相互作用を、周囲のセルとの値を見ることで近距離相互作用で近似できる。また、静的フロアフィールドと動的フロアフィールドの比はパニツクの度合いを表し、パニック度と呼び、この値を調整することで現実のデータをうまく再現する結果も得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Nishinari, M.Treiber, D.Helbing: "Experimental time gap distributions and erratic scattering in heterogenous flow"Phys.Rev.E. Vol.68. 067101 (2003)
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[Publications] A.Schadschneider, A.Kirchner, K.Nishinari: "From ant trials to pedestrian dynamics"Appl.Bio Biomech. Vol.1(1). 11 (2003)
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[Publications] A.Kirchner, K.Nishinari, A.Schadschneider: "Friction effect and clogging in a cellular automation model for pedestrian dynamics"Phys.Rev.E. Vol.67. 056122 (2003)
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[Publications] A.Kirchner, H.Kluepfel, K.Nishinari, et al.: "Simulation of competitive egress behavior : Comparison with aircraft evacuation data"Physica A. Vol.324. 689 (2003)
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[Publications] J.Matsukidaira, K.Nishinari: "Euler-Lagrange coresspondence of cellular automation for traffic-flow models"Phys.Rev.Lett.. Vol.90. 088701 (2003)
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[Publications] K.Nishinari, D.Chowdhury, A.Schadschneider: "Cluster formation and anomalous fundamental diagram in an ant trial model"Phys.Rev.E. Vol.67. 036120 (2003)