2004 Fiscal Year Annual Research Report
セルオートマトンによる群集避難行動の数理解析と防災応用
Project/Area Number |
15760047
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
西成 活裕 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (40272083)
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Keywords | セルオートマトン / 超離散 / 交通流 / 蟻 / 群集避難 / ゼロレンジ過程 |
Research Abstract |
セルオートマトンを用いて自律粒子系の集団運動を記述するモデルを考案し、その理論解析および数値計算を行った。自律粒子として、本年度は蟻を中心にその1次元行動の数理解析、また双方向流や開放系の研究を行った。これらは人のモデルの1次元版と考えられ、人の避難行動のモデルの精密化に役立つ。この1次元モデルの研究により、フェロモンの存在により低密度でダンゴ状態の行動パターンになることが分かり、これは従来の平均場近似では取り扱えないものであることが確認できた。そのため、ゼロレンジ過程という新しい確率過程を用いて解析したところ、その結果が非常にシミュレーション結果に近くなった。よって、生物の行動の本質部分は数学的にゼロレンジ過程を用いて解析できるという重要な知見が得られた。また、ルールを多少変えることによりこの1次元モデルはバスの運行システムに類似していることが分かり、こちらでもシミュレーションの結果、最適なバスの運行台数やバス停数などが明らかになった。そして低密度の際のバスの平均速度などの理論値が得られた。さらに、生物の体内の分子モーターに関しても同様の渋滞現象があることが分かり、このモデル化と解析も行った。それはラングミュアー運動を取り入れた新しいセルオートマトンであり、渋滞と非渋滞を分けるショックドメインの構造が明らかになりつつある。 以上の結果により1次元的振る舞いはほぼ解明できたと考えられるので、この結果を踏まえて、2次元モデルの解析へつなげてゆくよていである。そのために、ネットワーク的に絡んだ格子についてのセルオートマトンについて研究をはじめ、スモールワールドネットワークと言われる新しいネットワークが人などの生物の相互運動の本質ではないかと考えるようになってきた。来年度以降はこの見地から人の行動について分析し、よりよいセルオートマトンモデルを考えて避難行動のシミュレーションに役立てたいと考えている。
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Research Products
(6 results)