2004 Fiscal Year Annual Research Report
北海道の既存RC造建物群の耐震性能の把握および地震被害予測モデルの構築
Project/Area Number |
15760414
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
麻里 哲広 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90250472)
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Keywords | 北海道 / RC造建物 / 耐震診断 / 耐震性能 / 被害予測 / 地震応答解析 |
Research Abstract |
Is値と被害の相関が余り高くないことがかねてより指摘されている。理由の一つには,Is値はあくまでも静的な力の釣り合いから算出される指標であり,地震時のような動的応答からもたらされる実被害とは必ずしも一致しないためである。 そこで今年度は,耐震診断で算出される各種指標,具体的にはIs値,CtSd値,F値などを基に応答解析モデルを作成し,そこに建物近傍の強震記録を入力した動的解析を試みることとした。解析モデルの復元力特性を決定するにあたり,降伏耐力をIs値あるいはCtSd値,降伏変位をF値より推定される値を用いるなどとした。兵庫県南部地震の際に大きな被害を受けた建物数棟の耐震診断結果の実値を用いた解析モデルに,推定地表面最大速度に基準化した神戸海洋気象台等の強震記録を入力し,実被害との対応を見た。その結果,以下の知見を得た。 1.復元力特性を決めるにあたり,耐力の値はIs値ではなくCtSd値を用いた方が実被害との相関が高い。 2.同じく復元力特性決定において,診断結果から降伏変位を定めるのは容易ではなく,現況ではF値から推定しているが,今後更に検討を進めることによってより精度の高い解析モデルを構築できると思われる。 3.実際に観測された地震動をそのままのレベルで入力すると解析では被害(変形)がかなり大きめに計算される。これは地表面での地震動がそのまま建物に入力されることはなく相互作用により入力損失があることによると考えられる。 4.また,解析モデルでは建物の構造躯対のみがモデル化されているが,非構造部材などが構造性能に寄与する点が無視できないためでもあると思われる。 5.以上より,現状ではCtSd値を数割増して建物の耐力と考えることが解析上では必要なことが分かった。 次年度以降は,診断結果を用いた解析モデルによる地震応答解析を更に推し進め,本研究の主題である北海道の建物の被害予測を遂行する予定である。
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Research Products
(5 results)