2003 Fiscal Year Annual Research Report
ホール・ステージ上の音場評価―アンサンブル演奏のしやすさに関する実験的検討―
Project/Area Number |
15760435
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 佳奈子 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10313107)
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Keywords | ステージ音響 / 音場シミュレーション / 音響指標 / 暗黙知 / コンサートホール音響 / アンサンブル演奏 / 音響設計 |
Research Abstract |
コンサートホールの音響設計のための基礎的研究として、ステージ上の演奏家にとって演奏しやすい音響条件に着目し、複数の演奏家がアンサンブル演奏を行う上で演奏しやすい条件を明らかにするため、以下の検討を行った。 〓実験システムの構築:これまで単独の演奏家に対する主観評価実験に用いてきた三次元音場シミュレーションシステムを拡張し、合計24チャンネルの実時間畳み込み演算装置を用いて二つの実験室に同時に実験音場を生成することによって、アンサンブル演奏を実際に行いながら音響条件と演奏家の評価との対応を調べるための実験システムを構築した。また、この実験システムの有効性に関して、実音場の再現精度及び主観評価実験への適用可能性について検討を行った。 〓実際のホール・ステージ音場における音響条件の測定:現実のホールで問題とされる音響的現象を実験的アプローチによって調べるためには、実際のホールにおける音響特性を把握する必要がある。そこで、建築的にさまざまな特徴をもつ国内5ホールにおいてステージ上の複数点間で音響測定を行い、ホールの違いやステージ上の位置関係の違いを抽出するための音響指標を探ると同時に、上述の実験システムに用いるための実測データを収集した。 〓演奏家の主観評価要因及び心理モデルの検討:演奏家にとって望ましい音響性能を明らかにするためには、実際の演奏活動におけるさまざまな背景要因や演奏中の演奏家の意識との関係からホールに対する要求性能を把握する必要がある。本年度は活動スタイル・楽器等が異なるプロ演奏家19名の協力を得てインタビュー調査を行い、演奏家のホールの評価における認知メカニズム及び評価要因について調べた。
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[Publications] K.Ueno, M.Rokutanda, H.achibana: "Experimental study of stage acoustics for ensemble performance"Proceedings of The Eighth Western Pacific Acoustics Conference. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] 上野佳奈子, 小島隆矢: "室内楽演奏のしやすさに着目したコンサートホール音響の評価-構造方程式モデリングによる評価モデル構築の試み-"日本行動計量学会第31回大会発表論文抄録集. 64-67 (2003)
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[Publications] 上野佳奈子, 橘秀樹, 小島隆矢, 六反田素子, 金森敬子: "室内楽演奏のしやすさに関する演奏家のホール音場評価の分析"日本音響学会秋季研究発表会講演論文集. 895-896 (2003)
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[Publications] 上野佳奈子, 橘秀樹: "ホール音場における演奏家の意識-演奏行為によるホールの知覚と言語化に関する検討-"人工知能学会第2種研究会ことば工学研究会資料. SIG-LSE-A302. 29-38 (2003)
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[Publications] 金森敬子, 上野佳奈子, 橘秀樹: "アンサンブル演奏のしやすさに関するシミュレーション実験-その3:オーケストラを想定したプロ演奏家の評価-"日本音響学会春季研究発表会講演論文集. 853-854 (2004)
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[Publications] M.Rokutanda, T.Kanamori, K.Ueno, H.Tachibana: "A sound field simulation system for the study of ensemble performance on concert hall stage"Acoustical Science and Technology. 未定(採録決定).