2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場・低温X線回折装置を用いた次世代高機能磁性材料の磁気体積効果に関する研究
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15760514
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 佳一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70302205)
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Keywords | 高磁気熱材料 / 高磁歪材料 / 磁場誘起形状記憶強磁性体 / X線回折装置 / 磁気体積効果 / 磁気冷凍 / 強磁場 / 低温 |
Research Abstract |
平成15年度は、私が所属する東北大学金属材用研究所付属強磁場超伝導材料研究センター設置の強磁場・低温X線回折装置を用いて、温度8Kから330K、磁場5テスラの範囲で、高磁気熱量効果を示すMnAsおよびMn(As_<1-x>Sb_x)化合物を中心に研究を進めた。その結果以下のことが明らかとなった。 1)MnAsは、温度約Tc=316Kで強磁性から常磁性へ一次転移的に磁気相転移が起こり、これにともない大きな磁気熱量効果を示す。この磁気相転移はTc以下で六方晶NiAs型、Tc以上でMnP型と構造相転移をおこす。磁気転移温度直上、ゼロ磁場では常磁性状態で斜方晶MnP型単相を示すが、磁場3Tでは六方晶NiAs型との二相共存を示し、それ以上の磁場では強磁性状態でNiAs型構造単相となる。MnP型構造およびNiAs型構造それぞれの磁歪はほとんど無いが、両構造で単位胞の大きさが異なるため、磁場誘起構造相転移に伴い単位化学式当たり約2.1%と大きな体積変化を示すことが判った。 2)Sbで置換したMn(As_<0.9>Sb_<0.1>)化合物はTc=290Kと減少する。このとき強磁性から常磁性への一次転移的な磁気相転移が起こり、大きな磁気熱量効果を示す。しかし、その結晶構造は全温度範囲で六方晶NiAs型であるが、磁気相転移前後で格子定数の異なるNiAs型が共存することが明らかとなった。このとき2つのNiAs型構造それ自身の格子定数は磁場により変化しないが、磁場誘起の常磁性-強磁性相転移に伴い、強磁性相のNiAs型構造が常磁性相のそれに比べ約1.1%増加すること判った。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] F.Ishikawa, K.Koyama, K.Watanabe, T.Asano, H.Wada: "Structure transformation of MnAs_<1-x>Sb_x under high magnetic fields"Materials Transaction. 45. 311 (2004)