2003 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性ガス分離膜における分子充填透過機構の解明とサブナノ膜細孔径分布評価への応用
Project/Area Number |
15760559
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉岡 朋久 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50284162)
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Keywords | 多孔性シリカ膜 / ガス透過機構 / マイクロ孔充填 / ガス分離 / 分子動力学 / 細孔内ポテンシャル |
Research Abstract |
1.多孔性シリカ膜における凝縮性ガスの透過係数の圧力依存性 平均細孔径4〜5Å程度と考えられるアモルファスシリカ膜をゾルゲル法により作成し,エタン・プロパンガスについて,透過係数の温度依存性よりポテンシャル場を考慮したガス状透過モデルにより細孔内ポテンシャル場を評価し,吸着ポテンシャル理論により,各ガスについてマイクロ孔充填相が形成される気相圧力を推算した.臨界温度以下ではどちらのガスに関しても透過係数の圧力依存性はほとんど見られなかったが,臨界温度よりも低い温度においては,予測されたマイクロ孔充填相形成圧力付近においてエタンの透過係数は大きく減少した.また,プロパンの透過係数は予測された圧力よりも若干低い圧力で透過係数の減少傾向が観測され細孔径分布の影響が示唆された. 2.単成分凝縮性ガスの透過特性と凝縮性/非凝縮性2成分混合ガス透過特性の比較 凝縮性ガス(エタン)と非凝縮性ガス(窒素)の2成分混合ガスについて,エタンの臨界温度以上(70℃)と以下(35℃)における透過実験を混合比を変えながら行い,凝縮性ガスのマイクロ孔充填相形成による非凝縮性ガスの透過ブロッキング効果を確認した.70℃では純ガス時の透過係数に等しく,相互に透過に影響を及ぼし合わないガス状態の透過・分離でが行われたが,35℃においてはエタンの透過係数は純エタン透過時とほぼ同様な圧力依存性を示したのに対して,窒素は比較的エタン分圧の低い条件下でも透過係数の低下が見られ,マイクロ孔充填相形成のみならず,微量なエタンが存在することにより窒素の透過が阻害されたことが示された. 3.分子動力学法による凝縮性ガス透過シミュレーションを用いたマイクロ孔充填・透過機構の検討 非平衡分子動力学法を用いた理想系における凝縮性ガスの透過シミュレーションを行い,透過分子間および細孔表面との相互作用が分子の透過にどのように影響するかを検討した.細孔表面との親和性が大きくなると臨界温度以上の高温域では透過量は多くなり,臨界温度近傍およびそれ以下の温度では透過量の減少が見られた.透過分子間の相互作用が大きくなると,ガス状態での透過には影響が無く,一方,臨界温度以下では透過係数が減少し,これは平均自乗変位から計算された一次元拡散係数が低下した事からも明かであった.これらの結果は,液相に近い高密度なマイクロ孔充填相の形成によってマイクロ孔内の透過分子の移動度が低下したことを示している.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomohisa Yoshioka: "Condensable Vapor Permeation through Microporous Silica Membranes Studied with Molecular Dynamics Simulation"Separation and Purification Technology. 32. 231-237 (2003)
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[Publications] Tomohisa Yoshioka: "Molecular Dynamics Study of Gas Permeation through Amorphous Silica Network and Inter-particle Pores on Microporous Silica Membranes"Molecular Physics. (受理済み). (2004)