2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞の細胞質分裂における微小管束化タンパク質TMBP200の機能解析
Project/Area Number |
15770033
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
安原 裕紀 関西大学, 工学部, 専任講師 (80257906)
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Keywords | TMBP200 / フラグモプラスト / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
TMBP200のN末端の269アミノ酸残基よりなる部分ペプチド(TMBPN1)とC末端の628アミノ酸残基よりなる部分ペプチド(TMBPC1)のそれぞれのN末端側にGFPを結合させたものを発現するBY-2細胞の形質転換体の作出を行った。はじめに、バイナリーベクターpBI1212を用いて、これらの融合ポリペプチドが35Sプロモーターにより過剰発現をする株の取得を試みた。その結果、GFP::TMBPN1を発現する株を得ることができたが、GFP::TMBPC1を発現する株については、薬剤耐性マーカーによる選抜の過程で、得られたいくつかのクローンにおいて、肥大した多核細胞が観察されたが、これらは継代培養を続けると観察されなくなった。そこで、デキサメタゾンによる誘導発現が可能なバイナリーベクターpTA7002を用いて、これらの融合ポリペプチドを誘導発現するBY-2株の取得を試み、それぞれいくつかの形質転換体を得ることが出来た。これらの株においてはいずれも、GFP::TMBPN1あるいはGFP::TMBPC1の発現により多核細胞が誘導された。BY-2細胞内で発現したこれらの融合タンパク質の細胞内分布を調べたところ、GFP::TMBPN1は細胞質全体と、フラグモブラスト微小管のある領域ではやや濃く、GFP::TMBPC1は細胞質全体に分布していた。これらの融合タンパク質を大腸菌の組換タンパク質として調製し、微小管との共沈殿試験による微小管結合活性の調査を行ったところ、GFP::TMBPN1は微小管と結合し、GFP::TMBPC1は微小管と結合しないことがわかった。GFP::TMBPN1あるいはGFP::TMBPC1の発現による多核細胞の誘導は、これらの融合タンパク質が優性阻害効果を発揮し内生のTMBP200の機能を阻害したことにより細胞質分裂が正常に行われなかった結果である可能性が高い。
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