2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統学的知見に基づく蘚類ハイゴケ科・ナガハシゴケ科の新分類体系の構築
Project/Area Number |
15770058
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坪田 博美 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (10332800)
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Keywords | ハイゴケ科 / ナガハシゴケ科 / ハイゴケ目 / 蘇類 / 分子系統 |
Research Abstract |
本年度は,形態形質だけではコンセンサスが得られず,多くの分類学的な問題点を持つ蘇類ハイゴケ科・ナガハシゴケ科について,系統学的な知見を活用して分類形質の再評価を行い,分類体系の再検討を行うことを目的で以下のとおり実施した. (1)材料を入手するため,今年度はオーストリアおよびオーストラリア北部において,野外調査を行った.オーストラリア北部で入手できたWijkia extenuataは,前年度に得られたタスマニア産のサンプルとは形態だけでなく,rbcL遺伝子のレベルでも大きく異なることが明らかになった.オーストラリアについては,現地の研究者と共同で調査を行い,ニュージーランドの標本も来年度はじめに入手できる予定である. (2)前年度で明らかになっていた結果のうち,Wijkia, Brotherella, Pylaisiadelphaについて,7月にオーストリア・ウィーンで開催された国際植物学会IABで発表を行った.またこの内容については,現在専門誌に投稿すべく論文を準備中である. (3)中国で開催された蘇苔類に関するシンポジウムにおいて,これまでに得られた知見のうち,ナガハシゴケ科に関する内容について発表を行った.この内容については,現在専門誌に投稿すべく論文を準備中である. (4)16年度に研究を行った簡便なDNA抽出方法について,その有効性をより明確にするため蘇類以外の植物についてもデータを加えた.さらに,葉緑体についてはLR-PCR可能であることが明らかになった.これらの内容については,専門誌に投稿して掲載された. (5)ハイゴケ科として扱われる分類群のうち,前年度までに得られていなかったCtenidiumやRhytidiadelphusなどのサンプルについてデータを得た.系統解析の結果,ハイゴケ科に置かず,独立した科として扱うのが妥当であるという結論を得た.
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Research Products
(1 results)