2003 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化によるヘムオキシゲナーゼの機能調節機構の検討
Project/Area Number |
15770073
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
東元 祐一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (40352124)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / NADPH-シトクロムP450還元酵素 / リン酸化 / ヘム代謝 / 質量分析法 / ペプチドマッピング |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、生理的なヘム代謝に与っているミクロソーム酵素で、ヘムを分解してビリベルジン、一酸化炭素および鉄イオンを生成する。HOには2種のアイソザイム(HO-1,HO-2)が存在するが、様々な酸化ストレスによって誘導されるHO-1の役割として、単にヘムの分解だけではなく、産生されるビリベルジンによる抗酸化作用が注目されている。一方、構成型のHO-2はCOを介する情報伝達系への関与が示唆されている。本研究の目的は、HO-1及びHO-2と関連が指摘されている各種キナーゼによる各リン酸化部位を特定し、リン酸化によるHOタンパク質の機能制御を解明することである。これまでに我々は、ラットHO-1のC末端22アミノ酸残基(膜結合部位)を除いた可溶性酵素を大腸菌で大量発現させる系を確立し、純度の高い酵素精製標品を得ている。またHOの反応には電子の供給が不可欠であり、その電子は、NADPH-シトクロムP450還元酵素(CPR)から供給されるが、このCPRに関しても同様に、大腸菌で大量発現させる系を確立し、高純度の精製酵素を得ている。さらに我々は、コンピュータプログラム、In vitro kinase assay及び、ペプチドマッピング法により、HO-1上のThr-188がプロテインキナーゼAによってリン酸化されることがわかった。そこで、リン酸化スレオニン模倣体として、Thr-188をアスパラギン酸に置換した変異酵素(T188D)と、PKAモチーフとして重要とされるArg-185をアラニンに置換した変異酵素(R185A)を作成し、ヘムの分解活性、還元酵素との反応性、反応中間体の分光学的性質について調べた。その結果、R185Aは著しくHO活性、還元速度が低下したことから、このアミノ酸残基がHO酵素活性発現に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hofseth, L.J.: "Nitric oxide-induced cellular stress and p53 activation in chronic inflammation."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 100(1). 143-148 (2003)
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[Publications] Basrur, V.: "Proteomic analysis of early melanosomes : Identification of novel melanosomal proteins."J.Proteome Res.. 2(1). 69-79 (2003)
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[Publications] Shiseki, M.: "p29ING4 and p28ING5 bind to p53 and p300,and enhance p53 activity."Cancer Res.. 63(10). 2373-2378 (2003)
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[Publications] Bulavin, D.V.: "Dual phosphorylation controls Cdc25 phosphatases and mitotic entry."Nature Cell Biol.. 5(6). 545-551 (2003)
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[Publications] Sugishima, M.: "Crystal structure of rat heme oxygenase-1 in complex with biliverdin-iron chelate : Conformational change of the distal helix during the heme cleavage reaction."J.Biol.Chem.. 278(34). 32352-32358 (2003)
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[Publications] Saito, S.: "Phosphorylation site interdependence of human p53 posttranslational modification in response to stress."J.Biol.Chem.. 278(39). 37536-37544 (2003)