2003 Fiscal Year Annual Research Report
2原子酸素添加酵素の反応中間体結晶構造に基づいた触媒反応機構解析
Project/Area Number |
15770077
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千田 俊哉 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物情報解析研究センター, 主任研究員 (30272868)
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Keywords | 2原子酸素添加酵素 / X線結晶構造解析 / 反応機構 / 反応中間体 / ノンヘム鉄 / 構造生物学 |
Research Abstract |
本研究では、2原子酸素添加酵素であるBphCの反応中間体の結晶構造を決定し、これをもとに触媒反応機構を決定していくことを目的としている。これまでに、基質非結合型、および基質結合型(酸素濃度100ppm;以後、基質結合型Iと呼ぶ)の高分解能構造(1.45Å分解能)を決定してきた。また、基質結合型(酸素濃度400ppm;以後、基質結合型IIと呼ぶ)の結晶構造も2.0Å分解能で決定している。これらの結果から、触媒反応に必須なHis194が触媒反応の過程で往復運動をしているらしいことが示唆されていた。しかしながら、基質結合型IIの結晶構造の分解能が他に比べ劣るため、これまでは、この構造を他の反応中間体構造と同列に論じることができなかった。そこで、基質結合型IIの結晶構造を他と同様な高分解能で決定することを試み、この構造を1.4Å分解能で決定した。その結果、鉄イオンに対する配位子の違いにより、確かに活性中心のHis194が異なった配置をとることがはっきりと示された。 また、本年度は、4-nitro-catechol,4-methyl-catecholの2つの阻害剤とBphCの複合体の結晶構造の決定も行った。その結果、これらの阻害剤は、通常のカテコール(およびその誘導体)と同様に2つの水酸基を使って鉄イオンに配位しているが、その配置が90°回転していることが明らかになった。つまり、基質とは異なる配置で活性中心の鉄イオンに配位することで活性中心を占有し、阻害剤として働いていることが明らかになった。阻害剤と蛋白質分子の相互作用を解析した結果、今回観察された現象は、阻害剤の置換基(ニトロ基やメチル基)と蛋白質分子との間の接触のため、通常の基質と同様な配置で鉄イオンに配位することができなくなり、生じたことが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Senda, T.: "Structure determination of reaction intermediates for 2,3-dihydioxybiphenyl 1,2-dioxygenase (the BphC enzyme) derived from Pseudomonas sp. Strain KKS102."Oxygen and Life (Proceedings of 3^<rd> international conference on oxygen and life ; International Congress series) (Elsevier Science). 221-228 (2003)
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[Publications] 千田俊哉: "集合系マシーナリとしての芳香族化合物分解系-ジオキシゲナーゼを中心として-"結晶学会誌. 45. 71-75 (2003)
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[Publications] Nagarajan, V.: "Crystallization of the terminal oxygenase component of biphenyl dioxygenase derived from Rhodococcus sp. strain RHA1."Protein and Peptide Letters. 10. 412-417 (2003)