2003 Fiscal Year Annual Research Report
リボザイムからRNA-蛋白質複合体への進化プロセスのモデル化
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15770110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井川 善也 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (70281087)
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Keywords | RNA / RNP / 複合体 / 分子進化 |
Research Abstract |
上記の研究課題遂行のため、RNAから蛋白質因子への機能移譲の過程を、素過程に分類してモデル化した。今年度は進化中間体1、および進化中間体2の分子設計を行い、それらデザインした分子種のRNA成分を試験管内合成によって合成した。これらの進化中間体RNAモデルはそれら自身が蛋白質因子の非存在下でも高い、あるいは中程度の触媒活性を示した。このことは、RNAから蛋白質因子への機能移譲が段階的に生じ、RNA成分の機能が段階的に低減していったとするモデルとよく合致する。 次にこれら進化中間体と相互作用する蛋白質因子の分子設計を行い、それらデザインされた蛋白質を大腸菌の大量発現系とintein tag法により発現、単離、単一に精製する手法を確立した。 ついでこれらの蛋白因子のRNA成分の触媒活性に与える影響を、RNA成分の活性を蛋白因子の存在下、非存在下で測定し、検討した。その結果、進化中間体1については蛋白因子の添加による活性変化はみられなかったのに対し、進化中間体2は蛋白質因子の存在下で活性が大きく上昇することを見出した。この結果は、RNAから蛋白質因子への機能移譲のモデル過程の予想と矛盾しない。従って、今年度の実験より、RNAから蛋白質因子への機能移譲の過程のうち、前半部分についてモデルを実証する実験系を構築できたことになる。 それにつづいて現在は、進化中間体2に続く、最終的なRNA-蛋白質複合体、すなわち蛋白質因子を必須の補助因子として必要とするRNA成分のモデル化を行っている。
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[Publications] Atsumi, S., Ikawa, Y., Shiraishi, H., Inoue, T.: "Selections for constituting new RNA-protein interactions in catalytic RNP"Nucleic Acids Research. 31. 661-669 (2003)
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[Publications] Ikawa, Y., Inoue, T.: "Designed structural rearrangement of an active group I ribozyme"Journal of Biochemistry (Tokyo). 133. 189-195 (2003)
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[Publications] Ikawa, Y, Tsuda, K., Matsumura, S., Atsumi, S., Inoue, T.: "Putative intermediary stages for the molecular evolution from a ribozyme to a catalytic RNP"Nucleic Acids Research. 31. 1488-1496 (2003)
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[Publications] Ikawa, Y., Sasaki, K., Tominaga, H., Inoue, T.: "P5 activator of a group IC ribozyme can replace P7.1/7.2 activator of a group IA ribozyme."Journal of Biochemistry (Tokyo). 133. 665-670 (2003)
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[Publications] Matsumura, S., Ikawa, Y., Inoue, T.: "Biochemical characterization of the kink-turn RNA motif."Nucleic Acids Research. 31. 5544-5551 (2003)
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[Publications] Ohuchi, S.J., Ikawa, Y., Shiraishi, H., Inoue, T.: "Artificial modules for enhancing rate constants of a group I intron ribozyme without a P4-P6 core element."Journal of Biological Chemistry. 279. 540-546 (2004)