2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞における細胞質mRNA輸送粒子の分子構築と機能解析
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15770132
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
椎名 伸之 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (30332175)
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Keywords | RNG105 / RNA granule / RNA結合タンパク質 / 翻訳抑制 / 局所的タンパク合成 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
中枢神経細胞において,mRNAが樹状突起へ輸送されることが知られている。これらmRNAはシナプス可塑性に関与するタンパク質をコードしており,これらがシナプス刺激依存的に局所的に翻訳されることが,個々のシナプスの長期増強に必要であり,また記憶や学習に必須のメカニズムであることが明らかになってきた。mRNAの樹状突起への輸送と局所的タンパク合成の制御には,RNA granuleと呼ばれるmacromolecularな複合体が中心的な役割を担っている。 本年度の研究では,以前我々がRNA granuleの新規構成タンパク質として同定したp105(=RNG105,RNA granule protein 105)の機能解析を主におこなった。まず,RNG105がRNA結合モチーフをもち,直接mRNAに結合する活性をもつことを明らかにした。また,培養細胞での発現実験により,RNG105がin vivoで翻訳を抑制することを見いだした。海馬神経細胞を用いた実験では,シナプス刺激(BDNF刺激)依存的にRNG105がmRNAおよびRNA granuleに対する親和性を低下させることを見いだした。さらにこの親和性の低下が,RNA granule近傍での局所的タンパク合成の活性化と密接に関連していることがわかった。以上の結果から,RNG105は神経樹状突起内を輸送中のRNA granuleにおいてはタンパク合成を抑制し,シナプス付近に到達すると刺激依存的にmRNAおよびRNA granuleから解離し,その結果個々のシナプスにおける局所的タンパク合成が起こる,というモデルが考えられた。
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