2003 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥適応型光合成CAMの多様性とその制御機構に関する研究
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15780015
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
近藤 歩 名城大学, 農学部, 講師 (60340296)
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Keywords | Crassulacean Acid Metabolism (CAM) / 光合成炭素代謝機構 / ピルビン酸正リン酸ジキナーゼ(PPDK) / 葉緑体 / 耐乾性植物 |
Research Abstract |
これまでの研究により,CAMに関わる鍵酵素の1つであるPPDKの葉肉細胞内局在は,葉緑体のみに局在するもの(Chlt型),細胞質のみに局在するもの(Cyt型),並びに細胞質と葉緑体の両方に分布するもの(Cyt-Chlt型)という3つの型に分けられ,多様性に富むことを明らかにした.本研究では,このようなPPDKの局在型の変異から,CAMの新規な代謝経路の存在を明らかにすることを目的として進めている. 一般的に細胞質型PPDKは光合成代謝には直接関わっていないと考えられている.そこで今年度は,CAM光合成における本酵素の役割を調べるために,サイトゾル画分からPPDKを分離し活性測定を行った.その結果,活性をもつ機能タンパク質であることを明らかにした.現在さらに,光,温度等の外部環境要因に対する酵素の活性や動的特性を調査中である. 一方,最近の研究から,数種のCAM植物において,水ストレスに遭遇すると葉肉細胞の葉緑体が集合体を形成することを見出した.この現象は強光による過剰な還元力を抑制すると同時に,限られたCO_2,水分下で,より効率的な代謝サイクルを構築するものと予想される.そこで,まず細胞内における構造特性を明らかにするために,葉緑体だけでなく,核,ミトコンドリアの細胞内での動態について,蛍光顕微鏡法により解析した.その結果,CAM植物の葉緑体集合運動は,核と連動した形態反応であることが示唆された.また,葉緑体集合の誘導には青色光が関与していることが示唆された.細胞内の機能の効率性を考慮すると,各種オルガネラの配置,動向は極めて重要な意味をもつ.葉緑体と他のオルガネラとの関連も含め,集合体の中でどのような代謝機構が働いているのかはさらに検討すべき課題として残された.
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