2003 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌の宿主認識機構における糖タンパク質レクチンの役割
Project/Area Number |
15780036
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 章弘 鹿児島大学, 理学部, 助手 (50305108)
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Keywords | 根粒菌 / 宿主認識 / レクチン / 糖タンパク質 / 根粒 / ミヤコグサ / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
レクチンlectin)は,特走の糖と特異的結合活性をもつタンパク質・または糖タンパク質であり,ウィルスを含む生物全体に広く存在している。マメ科植物のレクチンは,植物レクチンの中で最も種類が多く,その数は100種を越えている。分子量は25kD〜30kDaであり,糖結合部位の他,Ca^<2+>やMn^<2+>との結合部位があり,これらのイオンとの結合は糖の結合に必須である。また,レクチンは植物のどの組織にも含まれているが,特にマメ科植物では含有量が高い根粒菌の侵入場所である根に存在するレクチンは,共生関係の成立に大きく関わっていると報告されている(レクチン認識仮説)。 近年,異なる種類のマメ科植物どうしでレクチン遣伝子の形質転換が行われており,共生域の拡大に関与する現象が報告されている。例えば,ダイズレクチン遺伝子GmLe1を形質転換したセイヨウミヤコグサLotus corniculatusにダイズ根粒菌を感染させると擬似根粒が形成された。しかし、糖結合部位の変化したダイズレクチンをコードするmutant GmLe1の導入では根粒形成は生じなかった。 本研究では,平成15年度はGmLe1をAgrobacterium tumefaciensを介した胚軸感染法を用いてミヤコグサ(L.japonicus B-129 Gifu)に形質転換を行った。また,controlとして糖結合部位に変異をもつダイズレクチン遣伝子mut.GmLe1を形質転換したミヤコグサの作出も行った。現在までに個体再生に至った導入確認済みの形質転換体は,6系統14個体で,controlは4系統17個体である。今後は得られた形質転換体より後代の種子採取,及びダイズ根粒菌(B.japonicum)接種に対する応答をはじめとする解析を行い,根粒菌の宿主認識機構とレクチンの関与を解明する予定である。
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