2003 Fiscal Year Annual Research Report
土壌環境がダイズ根粒菌の生態に及ぼす影響の解明―八郎潟干拓地におけるダイズ根粒菌の遺伝的多様性変動の解析―
Project/Area Number |
15780049
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 孝 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助手 (50315602)
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Keywords | 根粒菌 / ダイズ / 八郎潟干拓地 / 定量PCR / RAPD / 土地利用形態 / 土壌DNA / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
1.八郎潟干拓地におけるダイズ根粒菌の遺伝的多様性の解析 八郎潟干拓地内における様々な土地利用形態(水田、畑、放任地)の土壌を採取し、ダイズ根粒菌を約250株分離した。分離根粒菌よりDNAを抽出し、マイクロチップ電気泳動装置を用いてフィンガープリント法(Rep-PCR法、RAPD法)による菌株識別方法を検討した。その結果、Rep-PCR法、RAPD法どちらでも菌株識別は可能であったが、RAPD法の方が簡便であり有効であると考えられた。分離根粒菌の生理的特性を調べた結果、必ずしもBradyrhizobiumの特性を示さない菌株も存在し、現在16S-rDNAを解析中である。また、同地域における水田転換初年目および13年目の圃場の作土層から、未撹乱で土壌試料を採取し、深さ別の土壌試料からダイズ根粒菌の分離を試みている。 2.土壌環境中に生存するダイズ根粒菌数測定法の検討 土壌試料中の全DNAを抽出し、定量PCRを用いてターゲット遺伝子を増幅し、根粒菌数を定量する方法を検討した。土壌試料中の全DNA抽出は、市販の土壌DNA抽出キットを用いて行った。増幅ターゲット遺伝子は、16S-rDNA、nodZ、nodDとし、16S-rDNAについては大腸菌の16S-rDNAと、最近全ゲノム解読が完了したBradyrhizobium japonicum USDA110の16S-rDNAの2種類についてプライマーを設計した。いずれのプライマーにおいても遺伝子の増幅は確認されたが、nodZ、nodDについては強度が弱く、定量には不適切と判断された。16S-rDNAについてはB.japonicum USDA11Oの16S-rDNAが強度も強くノイズも少ないため、現段階においては有効であると判断された。現在、土壌DNA回収率向上、PCR時における他の微生物、遺伝子の千渉について検討中である。
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