2003 Fiscal Year Annual Research Report
東・東南アジアにおける農民の政治行動と農業政策決定メカニズムへの影響
Project/Area Number |
15780148
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石田 章 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (50346376)
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Keywords | 農業 / 財政支出 / 多国籍 |
Research Abstract |
経済発展に伴って、アジア諸国の財政規模はほぼ一貫して拡大基調を辿ってきたと同時に、その財政構造は大きく変化してきた。こうした状況下にあって、アジア諸国・地域の農業財政支出はどのように変化してきたのであろうか。すでに、わが国における農業財政支出の規模や構造変化に関しては、数多くの先行研究によって詳細な分析が行われている。しかし、財政統計の入手が困難なアジア諸国・地域の農業財政について詳細に検討した研究はきわめて限られている。そこで本研究では、アジア13カ国・1地域-日本、中国、韓国、台湾、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、インド-を取り上げ、それぞれの農業構造に留意しつつ、経済発展と農業財政支出との関係を明らかにすることを課題とした。 「農業生産額に占める農業財政支出額の比率」および「農業財政の交易指数」を用いて、各国・地域の農業財政支出を時系列・横断面的に比較・検討した結果、次のような結論が得られた。(1)経済成長に伴って、農業部門に有利な財政配分が行われたのはアジア先進グループ(日本、韓国、台湾)であった。これに対して、総じて途上国グループでは、農業部門に有利な財政配分は行われていない。(2)こうした背景として、小農が農業の主たる担い手である日本、韓国、台湾と、商業資本による大規模経営が農業部門の中核を占める途上国との農業生産構造の違いが指摘できる。(3)これに加えて、途上国において、1980年代半ば以降、農業開発予算の重点が多額の財政支出を伴う新規の灌漑開発から既存の灌漑施設の維持管理・整備にシフトしたことも関係していると考えられる。
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Research Products
(1 results)