2003 Fiscal Year Annual Research Report
放熱のあるコンクリートに適した新しい温度上昇試験方法に関する研究
Project/Area Number |
15780160
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中園 健文 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80315358)
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Keywords | コンクリート / 温度解析 / 断熱温度上昇実験式 / コンクリート構造物 / 放熱 / コンクリート温度上昇実験式 / 円柱供試体 / 温度上昇量 |
Research Abstract |
コンクリートの温度解析の精度を向上させる上で非常に重要な断熱温度上昇実験式は,断熱状態にあるコンクリートの温度上昇量を近似した式である.ところが,農業用水利施設にある壁体構造物や容積の小さな構造物は外部への放熱があり,断熱状態とは異なる温度変化になるため,既存の実験式を用いた温度解析の適用が困難で,断熱温度上昇試験装置の価格も非常に高価である.そこで,放熱のある構造物に適したコンクリート温度上昇実験式を定式化するために,強度試験に用いる円柱供試体の温度変化を計測し,断熱状態にないコンクリートの温度上昇量を手軽に計測できる実験方法を提案することを目的とする. 本年度では,鋳鉄製型枠やVP管を型枠に代用した数種類の異なる寸法の円柱供試体と発泡スチロールを養生材に用いた円柱供試体を作成し,養生条件の違うコンクリートの温度を計測する実験を行い,以下のことが明らかになった. 1.鋳鉄製型枠やVP管を用いた供試体のうち脱型を行った供試体内部の温度変化には,脱型時に全ての計測部位で急激な温度低下がみられた.一方で脱型のない供試体にはこのような温度低下がみられなかったことから,脱型を行うことで脱型面からの水分蒸発に起因した気化熱により温度が急激に低下したと推察された. 2.発泡スチロールを型枠に代用した供試体には計測部位の違いによる温度差がみられず,全ての部位で一様な温度変化となった.このことから,発泡スチロールを型枠に代用した場合,供試体内部は熱の移動のない断熱状態に近いコンクリートの温度変化になると推察される. 3.寸法の大きさにかかわらず,鋳鉄製型枠やVP管を用いた供試体のピーク温度は発砲スチロールよりも小さく,ピーク温度に達する時間は早くなった.このことから,鋳鉄製型枠やVP管を用いた供試体の温度変化を計測することで,放熱のあるコンクリートの温度上昇量を簡易的に計測できたといえる.
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