Research Abstract |
本年度は品質予測モデルを構築するため,以下の実験を行った。供試材料には愛知県産のブロッコリー‘グリーンパラソル'を用いた。材料は早朝,生産者の圃場より根付きの状態で収穫し,実験室に搬入後,葉柄を切断して実験に供試した。ブロッコリーは,インキュベータ内に設置した容器内に4日間貯蔵し,毎日,アスコルビン酸含量と色調を測定した。アスコルビン酸はヒドラジン比色法により定量し,色調は色彩色差計によりL, a, b値を得た。貯蔵中,ブロッコリーを静置した容器内に,ガス混合器により創出した修正ガスを流量100ml/minで通気し続けた。貯蔵条件は,温度を5,15,25℃の3段階とし,修正ガス組成はO_2濃度を2,5,10,21,30%(バランスN_2)の5段階の組み合わせとした。得られたデータを基に重回帰式によるモデルの構築を試みた。従属変数は,収穫直後の還元型アスコルビン酸含量を1とした相対アスコルビン酸含量と,収穫時からの色差(ΔEab=((L-L_0)^2+(a-a_0)^2+(b-b_0)^2)^<1/2>)の対数とした。説明変数は,単独要因として収穫からの経過日数[day],貯蔵温度[temp],O_2濃度[O_2],非線形性に対応するため,それぞれについての2,3,1/2,1/3,-1,-1/2,-1/3乗,1次の項同士の相互作用に対応するため,[day]×[temp],[day]×[O_2],[temp]×[O_2],[temp]×[day]×[O_2]とした。重回帰分析は変数増加法によって行った。重回帰分析によって得られた,相対アスコルビン酸含量と色差を表現するモデル式を次式に示した。 相対アスコルビン酸: [AsA]=-0.0271[day]-0.0054[temp]×[day]-0.0003[temp]×[day]×[O2]+1.1034 色差の対数: [logΔEab]=0.1114[day]-0.0043[temp]×[day]+0.0006[temp]×[day]×[O2]-0.4128 重回帰式の相関係数は,相対アスコルビン酸については0.910,色差については0.858となり,良好な予測が可能であると考える。次年度の課題として,流通現場で生じうる温度変動環境下での実測値とモデル値との比較を行いモデルの有効性を検討したい。また,昨年度に明らかとなった品種間差についても記述できるモデルの構築を目指す。
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