2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期チェックポイント制御に関わるヒトRAD9の関与するシグナル伝達と機能制御
Project/Area Number |
15790204
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平井 到 札幌医科大学, 医学部付属がん研究所, 助手 (00359994)
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Keywords | 細胞周期 / シグナル伝達 / チェックポイント |
Research Abstract |
正常細胞では細胞周期,細胞分裂の過程で染色体は正確に複製され正しく娘細胞に伝えられることが,その正常細胞が正常な営みを続けていくために必要である.かりに親細胞の遺伝情報が正しく娘細胞に受け継がれず,変異や欠失などを持った染色体が娘細胞に受け継がれた場合には,その娘細胞はやがて,がん化や細胞死に至る.このことを防ぐため,細胞には細胞周期,DNA複製,細胞分裂のさまざまな時点で働きうるチェックポイント機構が備えられており,染色体DNAを傷害する外的および内的刺激に対応している.本研究は,分裂酵母で同定された放射線(Radiation)感受性遺伝子のひとつS.pombeRad9のヒトホモログであるヒトRad9蛋白質(以下Rad9)を用い,細胞周期チェックポイント,特に細胞分裂のチェックポイントにおける,Rad9の機能およびリン酸化の意義について詳細に解析することを目的として行われている.Rad9は,Rad1,Hus1との蛋白質複合体形成およびC末端のいくつかのリン酸化によって機能発現すると考えられている.本研究ではRad9の複合体形成に関して研究を行い,Rad9複合体の形成過程に関して新たな知見を得ることができた.すなわち,1.Hus1蛋白質はユビキチン-プロテアソーム経路によって蛋白質分解を受けるが,この蛋白質分解はRad1蛋白質の分子会合により抑制される.2.Hus1-Rad1蛋白質複合体は安定に保持され,続いてRad9との分子会合が細胞質で行われる.3.このような過程を経て成熟したRad9蛋白質複合体は核内へとRad9依存的に運ばれ細胞周期チェックポイントの過程において機能発現をする,などである'.Rad9のリン酸化に関しては他の研究施設よりいくつかの報告がなされたが,引き続きどのような経路がRad9のリン酸化に関与し,機能発現に影響を与えるかについて引き続き研究を行う.
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Research Products
(1 results)