2003 Fiscal Year Annual Research Report
水産油脂加工食品における有機ハロゲン化合物の残留実態の解明およびリスク評価
Project/Area Number |
15790291
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
阿久津 和彦 大阪府立公衆衛生研究所, 食品医薬品部, 研究員 (00311481)
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Keywords | 水産油脂加工食品 / 健康食品 / ポリ塩化ビフェニル / ポリ臭素化ジフェニルエーテル / PCBs / PBDEs |
Research Abstract |
今年度は水産油脂加工食品中に存在する有機ハロゲン汚染物質(ポリ塩化ビフェニル(PCBs),ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs))を高精度で分析することを目的として,炭素の安定同位体13Cでラベル化したPCBs,PBDEsを内部標準物質に用いる分析法の開発を行った.PCBsおよびPBDEsの分離検出には選択性と検出感度に優れたガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)を用いた.汚染指標となる3〜7塩化PCBs(IUPAC No.28/31,52,118,153,180)および3〜7臭素化PBDEs(IUPAC No.28,49,47,66,100.99,155,154,153,183)を添加したフィッシュオイルをゲル浸透クロマトグラフィーおよび硫酸含浸シリカゲルカラムを用いて精製しGC/MSで電子イオン化測定したときの各異性体の補正回収率(n=3)は平均で78〜106%,RSD<3%の範囲内であり,満足できる定量精度であった.また,クロマトグラム上にこれらの化合物の定量の妨害となるピークは認められなかった.各異性体の検出限界はブランク試験等の結果から検液中濃度0.1〜0.5ng/mLとした. 本法を駆使して水産油脂加工食品16検体中の6種PCBsおよび10種PBDEs濃度を調べた.その結果,これらの食品中のΣ6PCBs濃度は0.3〜180ng/g,Σ10PBDEs濃度はND〜32ng/gであり,製品によって汚染物濃度に大きな差があることが明らかとなった.なお,今回の精製条件では正確な定量は困難であったが,スクワレンを主成分とするサメ肝油抽出物カプセルについても予備的な分析を行ったところ,比較的高濃度のPCBsおよびPBDEsに汚染されていることが示唆された.
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