2003 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロン(IFN)-α-2bとIFN-βがヒト肝癌細胞の増殖に及ぼす影響:細胞内シグナル伝達経路を中心とした検討
Project/Area Number |
15790346
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡野 淳一 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (00343278)
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Keywords | インターフェロン / 肝癌細胞 / 細胞内シグナル伝達経路 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.ヒト由来肝癌培養細胞(Hep3B、HLF、Huh6、PLC/PRF/5)に対し、IFNα-2bあるいはIFN-βをそれぞれ10%ウシ胎児血清存在下あるいは非存在下に添加後、これらのIFNが細胞増殖に及ぼす影響をMTTアッセイ法にて検討した。IFN濃度は、臨床的にヒト血中で得られる10、100、1,000U/mlを用い、96時間後まで24時間毎に検討した。その結果、4種いずれの肝癌細胞に対しても、IFNα-2bおよびIFN-βは細胞増殖に対して有意な影響を及ぼさず、肝癌細胞はIFN抵抗性を示した。 2.これらの肝癌細胞にIFNレセプターであるIFNAR1とIFNAR2の発現を、RT-PCR法により確認した。次に、STAT1、ERK、p38MAPK、AKTに対しIFNα-2bあるいはIFN-βが及ぼす影響を、リン酸化特異抗体を用いたウエスタンブロット法により検討した。STAT1とERKはIFNα-2bおよびIFN-βによりリン酸化を受け、AKTはIFN-βによってのみリン酸化を受け、p38MAPKはいずれのIFNによってもリン酸化を受けなかった。各種インヒビターの前投与により、これらのIFNによるERK、AKTのリン酸化はそれぞれMEK、PI3K依存性であることが示された。 3.IFNα-2bが細胞周期に及ぼす影響およびアポトーシスの有無を、フローサイトメトリーにて検討した。IFNα-2bはG1/S期で細胞周期を停止させたが、アポトーシスは惹起しなかった。MEKインヒビターあるいはPI3Kインヒビターの前投与後にIFNを投与し、MTTアッセイを行ったが、細胞死の促進効果は得られなかった。従って、ERK、AKTはIFN抵抗性に関与していないことが示された。
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