2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオグリカンによる血管障害発症機構の検討と治療への応用
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15790392
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 良子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30348643)
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Keywords | バイグリカン / 血管障害 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
血管壁には細胞外マトリックスの構成成分であるプロテオグリカンが豊富に存在していることが知られており、また動脈硬化でその発現が亢進していることが示されているが血管における機能について不明な点が多い。今回我々は血管特異的プロモーターαSMAの下流にヒトバイグリカンcDNAを挿入し血管特異的にバイグリカンを過剰発現するトランスジェニックマウス(Tg)を樹立した。Tgマウスの心機能を心エコーを用いて評価したが、野生型マウス(Wt)に比して大きな差を認めなかった。次に血管障害モデルを作成するためにアンジオテンシンII(Ang II)をTg及びWtにミニポンプを用いて1ug/kg/minで14日間投与した。投与前後で血圧、心重量、血漿レニン活性を測定し、大動脈や心組織を各群より摂取し、抗PCNA、αSMA、CD38、CD61抗体を用いた免疫組織学的検討を行った。バイグリカンTgマウス血管ではWtに比して大動脈のPCNA陽性細胞は有意に増加しておりまた血管中膜の厚さ、M/L比も増加していた。Ang II投与によりこれらの作用が増強するとともに、冠動脈において著明な増生によるneointimaの形成・血管内腔の部分閉塞を認めた(Wt Ang II(-) 0.32+0.14、Wt Ang II(+) 2.97+0.25、Tg Ang II(-) 3.19+0.39、Tg Ang II(+) 6.96+0.88 (PCNA (+) cells x100/um))。また病変の免疫染色ではneointima形成部分に一致してPCNA、αSMA染色は亢進していたがCD38、CD61染色は陰性であった。以上より、バイグリカンが内皮細胞やマクロファージに影響せず、冠動脈血管平滑筋細胞の増殖亢進と遊走をもたらす可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)