2003 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥/多動性障害モデルラットにおけるメチルフェニデートの作用
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15790547
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
木谷 有里 久留米大学, 医学部, 助手 (70341302)
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Keywords | 注意欠陥 / 多動性障害(AD / HD) / メチルフェニデート / ノルアドレナリン / 青斑核(LC) / 神経伝達物質 / re uptake / 抑制性シナプス後電流(IPSCs) / 興奮性シナプス後電流(EPSCs) |
Research Abstract |
小児の注意欠陥/多動性障害(AD/HD)症状改善薬であるMethylphenidate(MPH)、Clonidine(CLO)、Milnacipran(MNP)の作用をNorepinephrine(NE)神経の中核である青斑核(LC)ニューロンにおいて検討した。幼若ラット(Wistar,♂,生後7〜21日)脳スライス標本(210-230μm)のLCニューロンからwhole cell patch clamp記録下において、MPH(>30μM)、CLO(>0.1μM)、MNP(>30μM)をそれぞれ灌流投与すると、膜コンダクタンスの上昇を伴う外向き電流を発生させた。これらの外向き電流はYohimbine(α_2 antagonist)でほぼ抑制され、NE誘起外向き電流のイオン機序と同一であった。シナプス後電流(EPSCs, IPSCs)に対してCLO(0.01-1μM)はIPSCsを消失させたが、低濃度(0.3-3μM)MPH、MNPでは膜電位、膜電流に対する明らかな作用はないにもかかわらず、濃度依存的にIPSCsの振幅とタイムコースを著明に増大させた。しかし高濃度(>30μM)MPH、MNPでは、IPSCsを抑制した。MPH、CLOはEPSCsには影響がなく、高濃度MNPではEPSCsを抑制する傾向があった。MPH(100μM)を長時間(>15min)灌流投与すると、外向き電流を発生させるが灌流中でも徐々に減衰し、そのときIPSCsは観察できなかった。しかしMNP(100μM)長時間投与では外向き電流は発生しつづけ、IPSCsも抑制傾向にはあるが観察できた。成熟ラットにおいても同様の結果が得られた。以上の結果から、MPH、CLO、MNPはそれぞれ異なる作用をもつことが示唆された。高濃度MPHにはNE放出を促進させる作用が示唆されたが、低濃度MPH、MNPではLCニューロンにおけるre-uptakeシステムを阻害することによってNE濃度を増加させ、IPSCsの振幅とタイムコースを増大させることで抑制性のシグナル伝達を高める働きがあると考えられる。従ってこのような低濃度での作用がAD/HD症状を改善する作用幾序である可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 木谷 有里: "幼若ラットの青斑核ニューロンに対するメチルフェニデートの作用"脳と発達. 35・Suppl. S130 (2003)
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[Publications] Ishimatsu M: "Comparison of the effects of milnacipran (SNRI) and methylphenidate on the rat locus coeruleus neurons"Neurosci Res. 46・Suppl.1. S150 (2003)
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[Publications] 木谷 有里: "久留米市の通常学級に在籍する小学生のADHD症状の調査"日本LD学会第12回大会発表論文集. 295-296 (2003)
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[Publications] 石松 秀: "AD/HD治療薬としてのミルナシプラン(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)の可能性"脳と発達. 36・Suppl(発表予定). (2004)
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[Publications] 小谷 有里: "AD/HDモデルラット(spontaneous hypertensive rats)の青斑核ニューロンに対するメチルフェニデートの作用"脳と発達. 36・Suppl(発表予定). (2004)
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[Publications] Kuwahata T: "Effects of milnacipran on the rat locus coeruleus neurons"Jpn J Physiol. 54・Suppl(発表予定). (2004)
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[Publications] Kidani Y: "Methylphenidate enhances the noradrenergic effects of locus coeruleus neurons of the juvenile rat"Jpn J Physiol. 54・Suppl(発表予定). (2004)