2003 Fiscal Year Annual Research Report
再生表皮ではNotchの活性が変化するため細胞は再増殖を開始する。
Project/Area Number |
15790565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 洋 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40359526)
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Keywords | 表皮細胞 / 創傷治癒 / Notch / 脱分化 |
Research Abstract |
私は創傷治癒のよりよい治療法を開発するため、創傷治癒の過程を解析した。特に創傷治癒の際には既に分化が進んで増殖を停止した表皮細胞が脱分化して再増殖をスター卜する。この過程において細胞表面に発現しているレセプタータンパク質であるNotchの働きが重要であると考えて、Notchに焦点をあてて解析を進めた。通常、表皮では基底層の細胞は未分化で活発に増殖しているが分化が進むとより上の層に移動し分化特異的なマーカーを発現するとともに増殖を停止する。しかし、皮膚に欠損が生じると既に分化し分化特異的な形質を発現させていた細胞がその分化特異的な形質を消失させて再増殖をスタートする。共焦点レーザー顕微鏡を使って観察すると、通常の表皮ではNotch1とNotch2が発現しているが、皮膚に欠損が生じると有棘層で発現していたNotch2が顕著に減少することがわかった。これまでの解析でNotch1は表母細胞の増殖を抑制して分化を促進する作用があることがわかっている。近似した構造を持つNotch2にしても同様の働きがあるのか明らかにするため表皮細胞にNotch2を過剰発現させた。その結果、Notch2もNotch1と同様に表皮細胞の増殖を抑制して分化を促進する働きがあることがわかった。以上の結果から、通常有棘層で発現しているNotch2は表皮細胞の増殖を抑制し分化の進展を促しているが、創傷が形成されるとNotch2は減少するので表皮細胞は脱分化して再増埴を開始するのではないかと考えた。さらに生体のレベルで検証をはかるため、創傷部の表皮でNotch2が過剰発現する遺伝子導入マウスをつくるため、ケラチン6プロモーターに活性型Notch2を連結したベクターを作成した。
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