2003 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚重症感染症におけるヒトRP105分子の発現の検討-Vibrio vulnificus感染症へのアプローチ
Project/Area Number |
15790587
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
三浦 由宏 佐賀大学, 医学部, 助手 (20304892)
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Keywords | 重症皮膚感染症 / リンパ球 / RP105分子 / Vibrio vulnificus感染症 |
Research Abstract |
平成15年9月20日初診のVibrio vulnificus感染症(左下腿)患者の末梢血リンパ球におけるRP105分子(CD180)の発現を検討した。 患者は69歳男性で50歳代から慢性C型肝炎からの肝硬変と肝細胞癌(抗癌剤動注・ラジオ波焼却術後)の既往がある。初診の10日前に有明海産のスズキの刺身を摂食、その8日後より発熱と左下腿に激痛と紫斑を認めた。経過と臨床からVibrio vulnificus感染症と診断した。入院後緊急デブリードマンと抗生物質の動脈注射による治療を開始したが、入院後約1ヶ月で多臓器不全にて死亡された。 この患者から末梢血を採血し、遠心法にてリンパ球を回収し、RP105分子に対するモノクローナル抗体(MHR73を用いたフローサイトメトリーによる解析を行った。結果、患者リンパ球におけるRP105分子は健常人と比べて若干の発現低下が見られたが、有意な差は認めなかった。採血は治療中も何度か行ったが、病勢の変化とRP105分子の発現には関連は認めなかった。 平成15年度にVibrio vulnificus感染症で佐賀大学医学部付属病院に入院し、解析可能であった患者は本患者だけであり、今後、同様の症例の蓄積にてVibrio vulnificus感染症とRP105分子の発現に何らかの差が認められる可能性はあると考える。 同様に佐賀大学医学部付属病院に入院した重症皮膚感染症(丹毒、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎)患者からも同様に末梢血リンパ球を回収し、MHR73を用いたフローサイトメトリーによる解析を行ったが、健常コントロールと比べ発現に有意な差は認めなかった。
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