2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790697
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
友安 信 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50347861)
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Keywords | 胸管リンパ流量 / Endotheline-1 / 慢性羊実験モデル / 歩行運動負荷 |
Research Abstract |
胸管にリンパ流量測定用の超音波通過時間流量計プローべ、右内胸動脈から埋め込み型無線血圧トランスデューサ、上行大動脈基部に心拍出量測定用のプローべを装着した慢性羊実験モデルを作成。Swan-Ganz catheterを挿入し肺動脈圧・中心静脈圧をモニタリングしながらendothelin-1を100 pmol/kg・200 pmol/kg・400 pmol/kgを3分間で緩徐静脈内投与した。胸管リンパ流量はendothelin-1用量依存性に有意に増加した。(最大変化、ET100 group :153.4±10.0%(3.34±0.24ml/min) ET200 group :175.4±14.5%(3.32±0.24ml/min) ET400 group :235.0±26.5%(3.74±0.21ml/min))特にET400 groupの上昇は顕著で継続的であった。胸管リンパ流量が増加した理由としてendothelin-1が体循環と肺循環の微小血管圧を増大させ末梢のリンパ産生を亢進させ、さらに末梢の血管透過性を亢進させて体浮腫及び肺水腫を惹起させる反面、直接胸管に作用して胸管のリンパ駆出力を増強させリンパのドレナージを促進させてそれらを改善させる方向に働く生体防御機能的に働く面も示唆しているものと考えられる。また同モデルを使用しての20分の歩行運動負荷実験では、胸管リンパ流量は運動開始直後から著増し(最大値339.8土46.9%(9.40±2.81ml/min)p<0.005)、運動中は高値を保持しながらも漸減し、運動終了直後に激減してbaseline値よりさらに減少した(30.2±3.3%(1.16±0.52ml/min)p=0.004)。運動で増加する理由として運動開始初期の四肢の骨格筋及び組織末梢間質に貯留されていた体液からのmassaging effectによるドレナージの効果と、心拍出量増加や体動脈圧と肺動脈圧上昇等に伴う末梢の体・肺微小循環の血管床の増大と圧の上昇さらには体肺血管透過性の亢進との相乗作用によるリンパ産生のはたらき二つの効果の合計の結果であると考えら恥、運動終了後baselineより激減する理由として、胸管に至るリンパ系の構造が特に嚢状に膨らんだ乳糜槽を中心にして容量緩衝として働いている可能性が示唆された。
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