2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性線維性組織球腫転移モデルへの癌抑制遺伝子導入およびその効果
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15790790
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
遠藤 宏治 鳥取大学, 医学部, 助手 (40346341)
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Keywords | アデノウイルスベクター / RUNX3 |
Research Abstract |
1.RUNX3発現アデノウイルスベククーの作製と精製 RUNX3はTGF-βシグナルの下流で働く転写因子の一つであり、胃癌組織でmRNAの発現が低下していることから、胃癌の癌抑制遺伝子であることが示唆されている。アデノウイルスベクターは、宿主染色体に組み込まれないため遺伝子発現は一過性であるが、挿入変異の起こる確率はきわめて低い。また遺伝子導入効率が極めて高く、休止期の細胞への遺伝子導入やin vivo遺伝子導入が容易に可能であるため、in vitro、in vivo両方におけるRUNX3の機能解析にはアデノウイルスベクターが有効であると考えられる。そこで、RUNX3の腫瘍抑制効果を検討するために必要な、ヒトRUNX3発現アデノウイルスベクター作製を試みた。2次ウイルスをHEK293細胞に感染させ、その細胞抽出液を用いてRUNX3蛋白の発現を検索したところ、RUNX3蛋白の発現が確認された。簡便力価測定法によるタイター測定の結果、1.23×10^8PFU/mlのRUNX3組み換えアデノウイルスが約500μl精製できた。in vivoの系で用いる場合、マウス一匹当たり1×10^7〜1×10^9PFUを用いるが、現在精製したウイルスベクター量はin vivoの系で使用できるほどの十分な量を満たしていない。従って、in vivo系で用いるウイルスを得るため、再度ウイルスを調製・精製する必要がある。 ウイルスベクターを精製後、ヒトRUNX3発現アデノウイルスベクターを悪性線維性組織腫(MFH)細胞株に感染させ、細胞増殖およびアポトーシス誘導への影響を検索する予定である。また、マウスにMFH細胞株を移植し、増殖した腫瘍に対しRUNX3発現アデノウイルスベクターをtransfectionさせ、抗腫瘍効果を検索する予定である。
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