2003 Fiscal Year Annual Research Report
胎児尿路閉塞患児の膀胱壁の肥厚、尿管拡張に関する原因の究明
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15790869
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 百合子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (80318948)
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Keywords | 胎児手術 / 閉塞性尿路障害 / 羊水膀胱シャント術 |
Research Abstract |
この実験は妊娠羊をもちいておこなっているため妊娠羊は価格が日本の約1/6で安定した動物の供給が得られるニュージーランドWellingtonの契約農場のものを用いた.まず妊娠羊を胎生60日で胎盤をつけたまま胎仔手術をおこない,雄では尿膜管とpenile urethraを結紮,雌では膀胱頚部を結紮した.羊の妊娠を継続させ,尿路閉塞3週後に雄には尿道球部瘻を作成し,雌では膀胱瘻を作成し,膀胱-羊水腔シャントを施行した. 全体で34匹の胎仔を用いたが,この中で尿路閉塞モデルを作成後13匹に対して膀胱羊水腔シャントを作成した.膀胱瘻は容易に作成できたが,尿道球部瘻は尿道の拡張が十分なかったため再閉塞をきたした.昨年までの胎仔手術で60日での尿路閉塞モデルの生存率は80%であったが,シャント手術は2度の再手術を行わなければならないため成績は46%と流産率が高かった.内訳は7匹がシャント後流産し6匹が生存した.そのうち3匹はシャントが有効であったが,胎生期の排尿サイクルが消失するため膀胱は萎縮し全容量が5ml 7mlになっていた.2匹はシャント不全で膀胱容量は巨大で399mlであった.残る1例は閉塞が完全ではなかった.病理結果からは膀胱の筋性肥厚が認められ,尿路閉窒により拡張した膀胱壁の筋線維が瘢痕性に萎縮して萎縮膀胱を呈すると考えられた. 本年度の結果から,尿路閉塞モデルにおいてシャント手術により膀胱機能を損なう可能性が示唆された.今後膀胱壁のコンプライアンス,胎児の排尿時の膀胱収縮機能などを検査する方針である.
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