2004 Fiscal Year Annual Research Report
胎児尿路閉塞患児の膀胱壁の肥厚、尿管拡張に関する原因の究明
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15790869
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 百合子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (80318948)
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Keywords | 胎児手術 / 閉塞性尿路障害 / 羊水膀胱シャント術 |
Research Abstract |
目的:胎児期の閉塞性尿路障害患児に対する腎温存目的に膀胱 羊水腔シャント術がおこなわれている。しかし、それらの患児の排尿に関する長期予後は満足できる結果ではなく、多くは膀胱容量が少なく、消化管を用いた膀胱容量拡張術(augmentation)等の手術が必要であった。この原因を究明する目的に羊を用いた膀胱 羊水腔シャントモデルを作成し、その膀胱容量を計測し、また膀胱のコンプライアンスを測定した。 方法:羊を全身麻酔下に帝王切開で胎盤を付けたまま胎仔の一部を娩出させ,雄ではpenile urethraと尿膜管,雌では膀胱頚部,尿膜管の両方をサイラスティックチューブで結紮し尿路閉塞モデルを作成する.その後3週間で尿路閉塞を膀胱-羊水腔シャントを作成し解除した。シャント作成は拡張した膀胱壁を切開し、皮膚と膀胱壁を5-0PDSで縫合し作成した。シャント作成後、羊を再度子宮内で管理し、満期(145日)で再び帝王切開で娩出させ膀胱容量を測定した。また膀胱内圧曲線を描出させ、そのコンプライアンスを測定した。その後縊死させ、腎臓、膀胱を含めた尿路系を摘出し病理学的検討を行った。 結果:22匹の胎仔にシャント手術を行い14匹が生存した。その中で11匹は膀胱容量が8±5mlと正常膀胱容量の71±19mlと比較して明らかに小さかった(p<0.05)。また膀胱内圧曲線は低容量、高内圧曲線を描いていた。病理学的には粘膜と平滑筋層の間に瘢痕形成が認められた。 結論:閉塞性尿路障害において腎温存目的にシャント手術がおこなわれているが、膀胱機能に関しては低容量高内圧曲線であった。これらは粘膜下層の瘢痕性繊維組織の造成と考えられた。
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