2003 Fiscal Year Annual Research Report
自家培養真皮のサイトカイン産生に関する実験的研究および小児全身熱傷後瘢痕への応用
Project/Area Number |
15791030
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
藤森 靖 大阪医科大学, 医学部, 助手 (70351393)
|
Keywords | 自家 / 培養真皮 / 熱傷後瘢痕 / 小児 / サイトカイン |
Research Abstract |
大阪医科大学倫理委員会での承認を得た後、治療を希望する患者の皮膚を1×2cmの大きさで採取した。対象は1歳から11歳の小児11人で、平均年齢は6.36歳であった。次のような手順で試料を採取した。(1):保存したチューブ一本から線維芽細胞を取り出し、150cm^2のフラスコ5枚に播種し1週間培養する。操作はクリーンベンチで行い、フラスコは37度のCO2インキュベータに入れておいた。(2):1週目に、フラスコの培養液を1ml採取し冷凍保存(試料A)した。また、5枚のフラスコから線維芽細胞数をカウントし、シャーレ内のヒアルロン酸およびコラーゲンでできたマトリックスに5×10^4個/cm^2となるように播種した。マトリックスに生着するまで一晩インキュベーター内に保管した後、翌日、培養液をシャーレ内に追加し、1週間インキュベータ内で保管した。(3):(2)より1週間後にシャーレ内の培養液を1ml採取し冷凍保存(試料B)した。(4):シャーレ内の培養液は1週間ごとに入れ替えた。その際、培養液を1mlずつ採取し、冷凍保存しておいた。この操作を3週間続けた(試料C、試料D)。 このようにして採取した11人分のチューブを対象に、ELISA法を用いてVEGFについて定量をおこなった。結果:いずれの試料においてもVEGFの産生が確認できた。培養真皮作成後1〜3週間と時間が経つにつれて、その産生量は低下しているものの、3週目においてもVEGFの産生は確認できた。年齢・部位によるVEGF産生量の違いは、今回の研究では確認できなかった。考察:自家培養真皮は、患者自身の細胞を用いているため、線維芽細胞が免疫学的に拒絶されることはない。今回の研究では、創部植皮下に線維芽細胞がとどまり、VEGFを産生し続けることが示唆された。これは植皮片の生着、経過に有効な結果を与えると考えられた。
|
Research Products
(1 results)