2003 Fiscal Year Annual Research Report
Aeromonas属細菌感染症における重症化機序の解明
Project/Area Number |
15791032
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
松岡 博史 宮崎大学, 医学部, 助手 (30315379)
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Keywords | Aeromonas属細菌 / 壊死性筋膜炎 / ヒアルロニダーゼ |
Research Abstract |
ヒアルロニダーゼ(HAase)は、結合組織や組織間液の主要成分であるヒアルロン酸を分解し、細菌や毒素の組織中での拡散を促進するspreading factorとして注目されている。Aeromonas属細菌は下痢の原因菌であるが、まれに重篤な肺炎や壊死性筋膜炎を起こすことが知られている。我々はHAaseがAeromonas属細菌感染症の重症化に関与する可能性を考え、本菌のHAaseの産生性について検討した。 対象は環境由来2株、患者死亡例由来の3株を含む臨床由来18株を用いた。 HAase産生性のスクリーニングは、ヒアルロン酸とBSAを含む寒天培地を用い(Smith and Willettの方法)、HAase活性は、段階希釈した試料とヒアルロン酸溶液を混合し、37℃1時間保温したのちstains-all溶液を加え、ヒアルロン酸の存在を示す650nmの吸光度の減少を指標として測定した。また、ヒアルロン酸添加SDS-PAGEとstains-all染色を用いたザイモグラフィによう解析も併せて行った。 スクリーニングの結果、20株中3株がHAase陽性であった。陽性の3株はいずれも死亡例から分離されたものであった。この中の1株(#23株)の培養上清中に多量のHAaseが存在することが明らかになったため、本菌株からのHAase精製を試みた。 培養上清の60%硫安沈殿画分を出発材料とし、Phenyl Sepharose HPカラムを用いた疎水クロマトグラフィーおよびMonoQカラムを用いた陰イオン交換クロマトグラフィーによって分離精製を行った。MonoQ活性画分のSDS-PAGE解析では、60kDaのメジャーバンドと複数の微量タンパクが存在し、ザイモグラフィによる解析では、60kDaのメジャーバンドに一致してHAaseの活性が認められた。このメジャーバンドをPVDF膜にブロッティングし、N末端配列の解析を行った結果、LTEYKILADの配列を得た。現在、内部N末端配列を検索中である。
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