2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性顎嚢胞の病態解析およびマイクロカプセルを用いた治療法の開発
Project/Area Number |
15791173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 史浩 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (10346801)
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Keywords | 歯原性顎嚢胞 / マイクロカプセル / keratinocyte growth factor / interleukin-1α / 歯原性角化嚢胞 / 含歯性嚢胞 |
Research Abstract |
申請者らは歯原性角化嚢胞の裏装上皮細胞がinterleukin-1α(IL-1α)を強く発現しており、このIL-1αがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現、活性化に強く関与している可能性を報告した。さらに嚢胞裏装上皮細胞でのIL-1αの発現調節には嚢胞腔内の陽圧刺激が関与しており、嚢胞腔内圧、IL-1αの発現、嚢胞の発育増大の三者間には強い関係の存在が示唆された。そこで陽圧刺激と角化細胞におけるIL-1αの発現、並びに陽圧刺激と骨吸収機構との関係について培養細胞を用いて解析した。結果、陽圧刺激は角化細胞においてIL-1αmRNA発現と蛋白分泌を増加させた。さらにIL-1αが線維芽細胞において骨吸収因子であるMMP-1、MMP-2、MMP-3、PGE_2の発現を増強させることを示すとともに、破骨細胞分化誘導因子であるRANKL mRNAの発現も増強させることを示した。角化細胞と線維芽細胞の共存培養実験から陽圧刺激によって角化細胞からのIL-1αの分泌が増加され、そのIL-1αが線維芽細胞にparacrine的に作用することによってMMP-1、MMP-2、MMP-3、PGE_2の分泌増加が生じると考えられた。 現在、歯原性顎嚢胞の発育に強く関与していると思われるkeratinocyte growth factor(KGF)蛋白およびKGF mRNAの発現を調べている。パラフィン切片に有効なKGFおよびKGFレセプターの抗体(長崎大学大学院医歯薬総合研究科医療科学専攻発生分化機能再建学講座動的形態分子解析学分野より供与)を用いて歯原性角化嚢胞・含歯性嚢胞・歯根嚢胞におけるKGF蛋白の発現を調べ、おおまかな傾向を掴んだ。今後は合成オリゴデオキシリボヌクレオチドプローブを用いたin situ hybridizationを行い、KGF mRNA産生細胞の同定を行い、マイクロカプセルが標的とする細胞を特定する予定である。
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