2003 Fiscal Year Annual Research Report
低リン血症性くる病マウスの象牙芽細胞でのオステオカルシンの過剰発現に関する研究
Project/Area Number |
15791204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 智之 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30303978)
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Keywords | HyPマウス / osteocalcin / X連鎖性低リン血症住ビタミンD抵抗性くる病 / Real-time RT-PCR法 / 象牙質石灰化不全 |
Research Abstract |
Hypマウスは,X連鎖性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病(XLH)の疾患モデルマウスであり,骨および象牙質石灰化不全を有している。我々はこれまでに,骨や象牙質の石灰化に関与するオステオカルシン(OC)mRNAの,形成途上のマウス歯胚における発現量をReal-time RT-PCR法で定量し,Hypマウスの歯胚は野生型マウスより有意に多くOC mRNAを発現していることを示した。本研究では,Hypマウスの歯胚におけるOC mRNA発現量の増加が血中リン濃度の低下に起因するのか,あるいは象牙芽細胞の異常によるのかをin vivoおよびin vitroで検討した。その結果,1)生後2日齢のHypマウス雄(-/Y)の血中リン濃度は,同胞の遺伝子的には正常なマウス雄(X/Y)と同程度であったが,歯胚におけるOC mRNA発現量は有意に高かった。 2)生後2日齢のHypマウス雄(-/Y)の象牙前質の幅は,同胞の遺伝子的には正常なマウス雄(X/Y)より広かった。これは,Hypマウスの象牙質形成異常の特徴の一つである。 3)胎生17日齢のHypマウスと野生型マウスの歯胚を取り出し,同一条件で10日間培養した結果,Hypマウスの培養歯胚におけるOC mRNA発現量は野生型マウスと比較して有意に高かった。 今回の研究は,HypマウスにおけるOCmRNAの過剰発現は,血中リン濃度の低下に起因するのではなく,象牙芽細胞自体の異常が原因である可能性を示唆している。また,Hypマウスにおける象牙質形成異常の原因は,血中リン濃度の低下のみではない可能性が示唆された。今後は,HypマウスにおけるOCmRNAの過剰発現と象牙質形成異常との関係を究明する予定である。
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