2016 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性トリフルオロメチル化合物の直接的合成法の開発研究
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15F15340
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
袖岡 幹子 国立研究開発法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 主任研究員 (60192142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VALVERDE-MURILLO ELENA 国立研究開発法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | トリフルオロメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではトリフルオロメチル基を有する光学活性物質の効率的かつ汎用的な合成手法の開発を目的に立体選択的な新規トリフルオロメチル化反応の開発を行なっている。本年度は、昨年度に引き続きアルケンの立体選択的な二官能基化を伴うトリフルオロメチル化反応の開発に関する検討を行った。 昨年度は、遷移金属および市販の不斉配位子を触媒に用いて検討を行った。その結果、特定の骨格を有する配位子を用いた場合に僅かながら不斉が誘起されることが明らかになった。そこで本年度は、同骨格の構造を元に新規配位子を設計および合成し、新規配位子と遷移金属触媒を組み合わせた場合の触媒活性と不斉収率に与える影響を検討した。特に、元の骨格に種々の置換基を系統的に導入することで、立体選択性に対する配位子の電子的および立体的な影響を詳細に検討した。その結果、置換基による電子的な効果はあまり見られなかったが、嵩高さが不斉収率に強く影響することを見出した。また、遷移金属触媒に対して非常に強いルイス酸を共触媒として添加することで調整したカチオン性錯体が、より効率の良い立体選択性を発現することも同時に明らかになった。以上の検討により大幅な不斉収率の向上を達成できたが、まだ化学収率に課題が残っている。そこで次年度は、さらなる不斉収率向上に加え、生成物の収率を向上させることをめざす。また、今年度は、別のタイプのアルケン基質の二官能基化を伴うトリフルオロメチル化反応についても初期的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規配位子の設計および合成開発によって、不斉収率を向上させることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
特に、目的生成物の収率および選択性に改善の余地が残されており、これまでに開発した配位子を用いて溶媒、反応温度および添加剤といった反応条件の精査を行うことでより効率の良い反応の開発を行う。
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