2015 Fiscal Year Annual Research Report
カリクサレンを骨格とした光学活性な超分子の創成とSPring-8を用いた構造解析
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15F15342
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
櫻井 和朗 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70343431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE JI HA 北九州市立大学, 国際環境工学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | カリクサレン / プラトニックミセル / 小角X線散乱 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、calix[4]areneを基体として、単分散なミセル粒子、正多面体構造をもった粒子、キラル増幅能がある有機ゲル化剤などを合成し、その構造に関して、放射光を用いて解析し、構造と物性の相関を調べることである。 本年度は、北九大の研究室で行ってきたカリクサレン系の単分散ミセルのアルキル鎖に重合性の官能基を導入して、単分散のミセルの形状を固定することを試みた。アクリレート系の重合性官能基を導入しようとした際に、目的生成物を得る前に重合が進行してしまう問題が起きてしまったため、比較的容易に導入可能な重合性の低いビニル基を付加したカリクサレン系脂質の合成を行い、目的生成物を得ることができた。得られた脂質が水溶液中で形成するミセルが単分散であることをSPring-8における小角X線散乱測定や流動分画―多角度光散乱測定によって明らかにし、これまで我々の研究室で見出してきたプラトニックミセルと同様のミセルが形成されていることを確認した。続いて、得られたミセルの疎水性コアに多チオール基含有化合物を内包させ、UVを利用したチオール-エン反応によるプラトニックミセル構造の固定化について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクリレート系の重合性官能基をカリクサレン系脂質の疎水部に導入使用とした際、反応途中でモノマー部位において重合が進行してしまい、目的生成物の合成が困難であった。しかし、ミセル固定化の戦略を重合法からクロスリンク法に変更することで、その目的生成物の合成を容易にし、その生成物が形成するミセルの構造解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ビニル基を疎水部に有するカリクサレン系ミセル構造の固定化をクロスリンク法を用いて検討する。また、新規に生体との相互作用が期待できる糖鎖を修飾したカリクサレン系脂質の合成を試みる。特に、β1,3グルカンの二糖を親水基として修飾して、免疫細胞への親和性を付与できるか検討をする。これが出来れば、選択的なDDSへの応用が可能となる。糖鎖を付与したミセルの構造は引き続き、SPring-8などの放射光での構造解析を行い、さらに、クライオTEMによる3次元像の再構築にも挑戦する。また、ミセルの大きさや構造と細胞取り込みの関係も調べる。このパイロット機能を有するミセルと上記のミセル構造の固定化の技術を組み合わせることで、これまでにない新たなDDSキャリアの創製が可能となる。
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Research Products
(3 results)