2015 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分化と細胞内共生微生物が種分化プロセスに及ぼす影響の解明
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15F15762
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立田 晴記 琉球大学, 農学部, 教授 (50370268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GRZYWACZ BEATA 琉球大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2017-03-31
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Keywords | フキバッタ / 染色体 / 生殖隔離 / FISH / Wolbachia / 系統 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は,日本産フキバッタ亜科昆虫全体の系統解析,またサッポロフキバッタ精巣の核型分析と蛍光in situ hybridization (FISH)の準備,Wolbachia系統判定のための予備解析を骨子した.まず日本産フキバッタ亜科昆虫の系統解析については,ミトコンドリア遺伝子のうち,チトクローム脱水素酵素をコードする遺伝子(COI)全域のシーケンスを実施するため,ユニバーサルプライマーの他,バッタ向けに開発されたプライマー(Lunt et al. 1996)を使い,PCRによる増幅チェックを行った.殆どの種において,バッタ向けに開発されたプライマーの増幅は良好であったが,一部標本については増幅されなかったため,プライマーウオーキング法により,解読部位を徐々に増やしていった.また解読した種について,外群2種(Melanoplus frigidus, Chorthippus brunneus huabeiensis)を追加し,ベイズ法による系統樹を作成した.サッポロフキバッタについてはその近縁種とされるクサツフキバッタと姉妹群を形成し,サッポロフキバッタ属全体と姉妹群を形成したのは南西諸島に分布する大陸フキバッタ属であった.サッポロフキバッタの核型については,性染色体のタイプ,逆位の有無と本数を調べた.またこれらのうち,特異的な染色体変異を含むと考えられたものについて,FISH法による観察を実施するための試薬類,機材を購入した.またWolbachiaの系統判定を実施するためのPCR条件を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系統解析は概ね順調に進行中であるが,一部標本については2016年度中に野外から確保しなければならない.また捕獲時期が古い標本についてはPCR増幅がうまくいっていないものがあり,標本の再確保も視野にいれて増幅条件の更なる検討を行う.またWolbachiaの検出,染色体観察と取り組む課題が山積しており,限られた時間の中で効率よく実験を組み立てていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に,系統解析に必要な標本を野外から確保し,解析終了後は速やかに結果を論文にまとめる.またFISH法による検討についても,高頻度反復配列の位置に着目して集団レベルの解析を進める.Wolbachiaの検出についても実験プロトコルの確立を急ぎたい.
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Research Products
(6 results)