2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02382
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泊 幸秀 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90447368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | microRNA / 翻訳抑制 / mRNA分解 / Argonaute |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNAによる「翻訳の抑制」については、標的mRNAから翻訳開始因子eIF4Aの解離を引き起こすために必要であると想定されるFactor Xの同定を目指し、過去に実績のある4-thio-Uだけではなく、5-iodo-Uや5-bromo-Uなどの様々な架橋剤を標的RNAに導入し、クロスリンク実験を行った。その結果、4-thio-Uで検出されたバンドに加え、いくつかの新しいバンドの検出に成功した。種々の抗体を用いた免疫沈降実験を行い、それらのバンドの同定を目指したが、これまで4-thio-Uで検出していた因子群の他に新規因子の同定には至らなかった。一方で、Argonauteの野生型および翻訳抑制活性欠失変異体に対して結合するタンパク質を、免疫沈降と質量分析を用いて網羅的に解析したところ、野生型特異的に結合する一群の因子が同定された。これらの中にFactor Xに相当するものがあるかどうか、今後慎重に解析を進めたい。 microRNAによる「mRNAの分解」に関しては、分解の第一段階である脱アデニル化を担うCCR4-NOT複合体に着目した解析を進めた。モデルとなる基質mRNAの検討を進めていたところ、CCR4-NOT複合体は、これまでに知られていた3'末端にpoly(A) tailを持つmRNAだけではなく、poly(A)のさらに下流にA以外の塩基が付加された様な基質に対しても作用しうるということが明らかになった。近年の網羅的解析から、このようなpoly(A)下流の修飾が生体内で高頻度で起きていることが報告されているため、今後の展開が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
microRNAによる「翻訳の抑制」に関しては、Factor Xの同定には至っていないものの、その候補因子は複数取得できてきている。また、microRNAによる「mRNAの分解」についても、poly(A)下流の修飾も含めてmicroRNAが作用しうるという興味深い知見を得ている。従って、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNAによる「翻訳の抑制」に関しては、これまでに試行した光架橋剤だけではなく、標的mRNAのキャップ構造末端にあるm7Gのリボースを過ヨウ素酸で酸化・開環してシスアルデヒドとし、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて結合したタンパク質の遊離アミノ基と還元・架橋するという化学的架橋法も検討し、microRNA依存的に標的mRNAのキャップ構造近傍に呼び込まれ、翻訳開始複合体を解離させる責任因子Factor Xを同定する。 microRNAによる「mRNAの分解」については、CCR4-NOT複合体がpoly(A)下流のA以外の塩基が存在する場合でも脱アデニル化を誘導できるという知見に基づき、その分子メカニズムの解析を行う。また、microRNAによる脱アデニル化反応におけるATPの役割についても、慎重に解析を進める。
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Research Products
(2 results)