2016 Fiscal Year Annual Research Report
微生物二次代謝遺伝子の改変、覚醒による新規生物活性物質の創出
Project/Area Number |
15H02445
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長田 裕之 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副センター長 (80160836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 直樹 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90442946)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物活性物質 / ケミカルバイオロジー / 二次代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然物、特に微生物代謝産物から、抗生物質、抗がん剤、免疫抑制剤など多くの医薬品が開発されてきた。近年、合成化合物が創薬の探索源として用いられることが多いが、生物活性の強さ、構造多様性では天然物が優れている。本研究では、我々が構築してきた新世代ケミカルバイオロジー研究基盤を利用して新規生物活性物質の創出を目指している。 今年度は、引き続きパスウェイ工学、およびNPPlotデータベースを駆使し、新規微生物代謝産物の取得に取り組んだ。前年度までの解析で見出した有用代謝産物の生合成遺伝子クラスターの解析に取り組み、生合成経路の全容解明を目指すとともに、破壊株において蓄積する代謝産物の取得を行った。また、イネいもち病菌をモデルに、制御系改変による遺伝子クラスター活性化技術の開発に取り組んだ。その結果、通常実験室条件では検出出来なかった代謝産物を生産させることに成功した。前年度構築したリポーターアッセイ系を用いて、リベロマイシン生合成遺伝子発現を活性化する外来因子(バイオメディエーター)の探索を行い、候補となる化合物を発見した。NPPlotを活用した化合物探索では、抗マラリア活性を有する複数の新規化合物の取得に成功した。前年度構築に取り組んだ真菌版MorphoBaseを用い、新規作用機序を有する抗真菌物質のスクリーニングを行い、Candida albicansに対して興味深い形態変化を誘導する活性を発見した。高次評価に資する候補化合物の取得を目指し、微生物代謝産物の生物活性評価を継続して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I. 新規微生物代謝産物の取得(1)パスウェイ工学による代謝産物取得:バーティシラクタムやフサリセチンといった、前年度見出した有用代謝産物生合成遺伝子クラスターを対象に遺伝子破壊実験を行った。破壊株で蓄積する代謝産物を精査し、鍵となる生合成中間体の取得とその生合成に関与する遺伝子の同定を試みている。(2)制御系改変による遺伝子クラスター活性化:イネいもち病菌をモデルに、制御系改変による遺伝子クラスター活性化技術の開発に取り組んだ。二成分情報伝達系の撹乱により、通常実験室条件では検出出来なかった代謝産物を生産させることに成功した。(3)バイオメディエーターによる遺伝子クラスター活性化:前年度に構築したリポーターアッセイ系を用いて、リベロマイシン生合成遺伝子発現を活性化するバイオメディエーターの探索を行ったところ、遺伝子活性化化合物の候補を見出した。さらには、構造活性相関研究を行い構造の最適化を試みた。(4)NPPlotデータベースを活用した新規化合物取得:我々が保有する土壌単離微生物菌株より、新規化合物探索を行った。その結果、抗マラリア活性を有する新規ネオアンチマイシン類縁化合物や新規デプシペプチドの取得に成功した。 II. 生物活性物質の探索(5)MorphoBaseを用いたハイコンテントスクリーニング:真菌版MorphoBaseを用いたスクリーニングから、Candida albicansに対して興味深い形態変化を誘導する活性を理研ブロス(微生物抽出液)ライブラリーから見出した。(6)生物活性評価:本課題で取得された化合物について、様々ながん細胞や各種真菌に対する増殖阻害活性、形態変化誘導活性の評価を行った。また、ガン細胞に対する強力な生育阻害物質であるコリスミシンAの作用標的をChemProteoBase等のプロファイリングにより解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた成果を基に、今年度も緊密に連携し以下の研究課題を推進する。 I. 新規微生物代謝産物の取得(1)NPPlotデータベースを活用した新規化合物取得:継続して新規化合物探索に取り組む。(2)新規化合物生合成経路のパスウェイ工学:遺伝子クラスター改変による関連化合物の網羅的な収集を行う。生産性を向上させることで、通常の生合成では検出出来なかったような多様な構造の類縁体収集を試みる。(3)制御系改変による遺伝子クラスター活性化:シグナル伝達系を含む広域転写因子や経路特異的制御因子の改変による遺伝子活性化と、その手法の他の生産菌への適用を図る。(4)バイオメディエーターによる遺伝子クラスター活性化:前年度見出したバイオメディエーター候補化合物の評価を進める。作用メカニズムを解明し、他の生産菌への応用が可能か検証する。 II. 生物活性物質の探索(5)MorphoBaseを用いたハイコンテントスクリーニング:前年度、真菌版MorphoBaseにより見出した真菌の形態変化誘導活性物質を同定する。また、継続してMorphoBaseを活用した新規作用機序を有する生物活性物質の探索を行う。(6)ヒット化合物の作用機序予測・標的分子探索:化合物固定化ビーズにより、上述の真菌形態変化誘導物質の標的分子を探索する。独自のケミカルバイオロジー研究基盤を駆使して、新規作用や新規標的が期待される化合物の評価を進め、新規生物活性物質の創出につなげる。
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Research Products
(47 results)
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[Journal Article] Proteomic profiling reveals that collismycin A is an iron chelator.2016
Author(s)
Kawatani M, Muroi M, Wada A, Inoue G, Futamura Y, Aono H, Shimizu K, Shimizu T, Igarashi Y, Takahashi-Ando N, Osada H
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 6
Pages: 38385
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Stachybotrysin, an Osteoclast Differentiation Inhibitor from the Marine-Derived Fungus Stachybotrys sp. KCB13F013.2016
Author(s)
Kim JW, Ko SK, Kim HM, Kim GH, Son S, Kim GS, Hwang GJ, Jeon ES, Shin KS, Ryoo IJ, Hong YS, Oh H, Lee KH, Soung NK, Hashizume D, Nogawa T, Takahashi S, Kim BY, Osada H, Jang JH, Ahn JS
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Journal Title
J Nat Prod
Volume: 79
Pages: 2703-2708
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Identification of MTH1inhibitors by chemical arrays2016
Author(s)
Kawamura T, Kawatani M, Kondoh Y, Muroi M, Futamura Y, Aono H, Tanaka M, Honda K, Osada H
Organizer
RIKEN-Max Planck Joint Research Center for Systems Chemical Biology The 5th Symposium
Place of Presentation
Harnack-Haus, Tagungsstatte der Max-Planck-Gesellschaft (Berlin, Germany)
Year and Date
2016-04-17 – 2016-04-20
Int'l Joint Research
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[Presentation] Fragment arrays for early druggability assessments2016
Author(s)
Jonas Aretz, Yasumitsu Kondoh, Kaori Honda, Upendra Rao Anumala, Marc Nazare, Nobumoto Watanabe, Hiroyuki Osada, Christoph Rademacher
Organizer
RIKEN-Max Planck Joint Research Center for Systems Chemical Biology The 5th Symposium
Place of Presentation
Harnack-Haus, Tagungsstatte der Max-Planck-Gesellschaft (Berlin, Germany)
Year and Date
2016-04-17 – 2016-04-20
Int'l Joint Research