2015 Fiscal Year Annual Research Report
Development of risk communication model for food safety and requirements of profession
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15H02465
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新山 陽子 京都大学, 農学研究科, 教授 (10172610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高鳥毛 敏雄 関西大学, 社会安全学部, 教授 (20206775)
鬼頭 弥生 京都大学, 農学研究科, 研究員 (50611802)
工藤 春代 京都大学, 農学研究科, 研究員 (60452281)
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
筒井 俊之 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究領域長 (70391448)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスク知覚 / 双方向リスクコミュニケーションモデル / リスクに関するイメージ想起 / 放射性物質の健康影響 / 食生活実態調査 / 食品安全のプロフェッション / 食品安全の専門高等教育 / 獣医大学カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
■放射性物質の健康影響に関するリスク知覚、および一方向情報提示、開発した双方向モデルによるリスクコミュニケーション実験結果を、International Forum on Food Safety(北京、招待講演)、Society for Risk AnalysisのWorld Congress(シンガポール、2報告)、The international seminar "Food, Risks and Sustainability"(香港、招待講演)などで報告した。またリスク認知に重要な影響を与えていることがわかったイメージ想起因子に関して、これまで日本で実施したイメージの内容とその形成時期・影響媒体に関する消費者フォーカスグループ調査結果と国際比較できるように、フランス・トゥールーズ大学リスク社会学研究者と共同調査を実施した(トゥールーズ3グループ、パリ2グループ、2017年度繰り越しによる)。過去に実施した、健康食品を対象としたリスク認知、一方向情報提示実験結果についてもとりまとめて、論文公表した。 ■福島産農産物の購買忌避行動について、非認知的なスティグマ仮説を立案し、仮説検証のための選択実験を設計し、Web調査を実施した。 ■2014年、15年に実施したリスクコミュニケーションの基礎となるフードコミュニケーションのベースとなる食生活実態調査結果(Web調査)をとりまとめ論文公表した。 ■食品安全分野のプロフェッション確立に関する課題について、フランスにおいて行政(農務省食品総局、モンペリエDDPP)の食品安全業務と職員の専門性、国立獣医大学(パリ、トゥルーズ)、国立農業学校(モンペリエ)の食品安全・衛生分野の高等教育カリキュラムに関する調査を準備し、実施した。専門職業として農業者をとらえる基礎となる農業経営の高度化・多様性について日仏独ワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
■開発した双方向リスクコミュニケーションモデルの放射性物質の健康影響、健康食品への適用結果について、学会、招待講演、論文などで国内外に広く公表する機会を得た。前者については震災のあった福島で開催された日本学術会議主催のシンポジウムにおいても報告の機会があり、その内容は学術的な結果を含めて地元新聞に大きく掲載された。過去に実施した、健康食品を対象としたリスク認知、一方向情報提示実験結果についてもとりまとめて、論文公表した。 ■リスク認知の特性(イメージ想起に依存)に関する掘り下げ調査については、日本の分析の結果から、その結果の相対化のため、国際比較を行う必要が生じ、原子力発電所の立地が多いフランスで実施することとなったが、共同調査先の研究機関との調整・契約などに時間を要し、実施が遅れて2017年度に繰り越しをした。結果は、きわめて成功裏に調査を行うことができ、同年度末にとりまとめのための共同研究会を実施できた。 ■目標とした、リスク認知とリスク行動(リスク回避の購買行動)とのギャップとその改善策の分析のために、仮説立案と実験設計を行い、Web調査の実施まで実現できた。福島産農産物の購買忌避行動を対象に、非認知的な「スティグマ」の存在を想定する仮説を立案するとともに、改善のための情報提供シナリオを作成し、仮説実証のための選択実験を設計し、実施した。 ■食品安全プロフェッションの確立に関する課題についても、フランスにおいて中央、地方の行政機関とともに、国立獣医大学、国立農業大学において、食品安全・衛生の高等専門教育に関するカリキュラムとその改革の内容について詳細なヒアリングができ、大きな成果を上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
■双方向リスクコミュニケーションモデルの実施実験結果については、一部をフランスとアジアの研究者の共同研究者による英文図書出版に収録することとなり、取りまとめ中である。普及段階のデータを含めて、論文公表の準備をする計画とした。 ■リスク認知特性(イメージ想起)の掘り下げ調査結果については、日仏の調査結果について、引き続き共同研究により、議論を重ねる予定とした。 ■リスク回避行動については、Web調査結果の分析に着手する計画とした。 ■フードコミュニケーションのベースとなる食生活実態調査結果については、朝、昼、晩の3食連結データの分析など、分析をさらに進める計画とした。 ■プロフェッションの確立に関する課題については、フランス調査結果をまとめるとともに、これまでに実施した調査結果とあわせて、専門職制度、教育制度やカリキュラムの比較を行うとともに、プロフェッション確立の要件に関する議論を蓄積する計画とした。
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Research Products
(14 results)