2016 Fiscal Year Annual Research Report
脂質代謝とSIK3による軟骨形成・分化の新しい制御機構の解明
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15H02561
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
妻木 範行 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50303938)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軟骨 / 分化 / iPS細胞 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
1)脂質代謝による軟骨形成・分化制御の解明については、 shRNAライブラリースクリーニングによって得られた、軟骨細胞分化に関わる因子Aの遺伝子ノックダウンをマウス初代軟骨培養細胞で行い、遺伝子発現変化と蛋白発現解析変化を定量的RT-PCRとウエスタンブロットを用いて解析したところ、軟骨マーカーの発現低下が起きていた。さらに、脂質代謝産物としてコレステロール量に変動が見られた。一方、因子Aを過剰発現させた場合は、軟骨マーカーの発現が上昇していた。より生理的な状況での軟骨分化への影響を調べるために、ペレットカルチャーを行い、軟骨マーカーの発現上昇が起きていることを確認した。このことから因子Aは軟骨細胞の表現型の維持に重要な働きをしていると考えた。 また、軟骨細胞の代謝におけるFGFR3シグナルの解析を調べるために、FGFR3遺伝子を改変したノックインマウスを作るためのDNAコンストラクトのデザインを行った。 2)SIK3による軟骨形成・分化制御の研究については、 ヒト軟骨細胞でのSIK3の役割を調べるために、ヒトiPS細胞に対してCRISPR/Cas9を使ってSIK3をノックアウトした。iPS細胞のゲノムを解析したところ、SIK3遺伝子の目的とした領域が両アリルで欠失していることを確認した。このSIK3 KO ヒトiPS細胞の軟骨分化を行い、軟骨分化を行えることを確認した。これにより、ヒト軟骨細胞でSIK3の機能を解析する材料を得ることができた。 SIK3 KOマウス軟骨細胞のRNA seqを行い、WTマウス軟骨細胞と比べて発現変化している遺伝子Bを同定した。遺伝子Bの発現変化を定量的RT-PCRとウエスタンブロットを用いて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライブラリースクリーニングにより、軟骨細胞形質維持に関わる因子として、遺伝子Aを得た。この遺伝子の機能及び脂質代謝に対する影響をを培養軟骨細胞を用いて調べた。 SIK3 ノックアウトヒトiPS細胞を作製した。 SIK3 KOマウス軟骨細胞で発現変化している遺伝子として、Bを同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングによって得られた、軟骨細胞分化に関わる因子Aの機能解析を行う。SIK3が軟骨細胞の形質をどのように制御しているかを、分子レベルで詳しく解析する。遺伝子改変マウスの軟骨原基器官培養を導入し、軟骨マトリックスが保たれた組織の状態で、より生理的な環境における軟骨細胞の増殖・分化の制御機構を解析することを目指す。
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Research Products
(24 results)