2016 Fiscal Year Annual Research Report
祭りの支度を通じた共同体〈心体知〉の集団学習メカニズムの解明
Project/Area Number |
15H02715
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
榎本 美香 東京工科大学, メディア学部, 講師 (10454141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
傳 康晴 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70291458)
細馬 宏通 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90275181)
坊農 真弓 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50418521)
寺岡 丈博 東京工科大学, メディア学部, 助教 (30617329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学習 / 共同体 / 共有知識 / 協働活動 / エートス / 相互行為分析 / 野沢温泉村 / 道祖神祭り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、祭りの支度を共に行うことで、以下に示す共同体固有の〈心体知〉を後継者世代が仲間内や現役世代と多対多の相互作用から習得していく過程を紐解くことである。 〈心〉 成員たちがもつ価値観や見識、信頼感といったエートス(e.g. 他者への気配り、自己犠牲の精神) 〈体〉 成員間で力や身体位置の配分が必要な協働活動技法(e.g. 環境や道具に応じた他者との協調的動作) 〈知〉 成員たちがもつ祭りに固有の共有知識(e.g. 縄の結び方、唄、舞など) H28年度は、〈知〉に関して、縄の結び方や掛け声にあわせた身体動作など祭りに特有の知識が活動と結びついて獲得・共有される方法を分析した(榎本・高梨・坊農・細馬)。例えば、「胴突唄」では歌に埋め込まれた韻律によって参加者どうしがお互いの身体動作を調整していることが明らかになった。〈体〉に関して、環境の中における自身と他者の役割に応じた立ち位置など、他者と同時に対象物に働きかける中で体得されていく身体動作の調整を分析した(伝・寺岡)。人びとの身体の空間配置が、物理的・相互行為的環境に応じてさまざまに変容する過程を明らかにした。〈心〉に関して、他者への話しかけ方や作業への手の貸し方など、その共同体成員なら誰しも期待される心的態度 (エートス)が言動の端々から斟酌・共有される方法を分析した(榎本・伝)。今何が必要かを瞬時に察して「手を出す」力が三夜講を通じて経時的に獲得されていく様から、「手を出す」ことが社会的に選好されるという規範が会得されていることがわかった。これらの分析は、共同体〈心体知〉を学習する成員たち自身のやり方を相互行為分析から炙り出すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同体の〈知〉〈体〉〈心〉に関して、研究代表者・分担者・連携研究者がそれぞれ分析を進めており、世代内・世代間の集団相互作用の中で初めて学習可能になる対象が明らかになりつつある。従来の認知科学研究では、特に技能の学習においては1対1での継承過程が対象であったが、本研究を通じて多対多の集団学習の過程を解明することが可能になったといえる。一方で、これらを統合した〈心体知〉学習モデルについては、個々の研究の統合が進んでおらず、29年度行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行ってきた個々の研究をさらに推し進めると同時に、それを統合した共同体〈心体知〉の学習メカニズムに関するモデル化を行う。夏休み・春休みに各1週間程度の合宿を開き、各自の成果をディスカッションし、学習メカニズムに関する考察を行う。また、平成29年9月に行われる日本認知科学会・社会言語科学会でこれらの成果を報告する予定である。また、平成29年9月23日には本科研費単独のシンポジウムを開催し、研究成果を広く公開する。
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Research Products
(62 results)
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[Presentation] 『日本語日常会話コーパス』の構築2017
Author(s)
小磯花絵, 居關友里子, 臼田泰如, 柏野和佳子, 川端良子, 田中弥生, 伝康晴, 西川賢哉
Organizer
言語処理学会第23回年次大会
Place of Presentation
筑波大学(茨城県つくば市)
Year and Date
2017-03-14 – 2017-03-16
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