2016 Fiscal Year Annual Research Report
大豆イソフラボン由来S-エクオールのアジア人型2型糖尿病予防作用に関する研究
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15H02900
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
乾 博 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (20193568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 直樹 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00529141)
甲斐 建次 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (40508404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | S-エクオール / 膵β細胞 / 2型糖尿病 / GPCR / PKAシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、膵β細胞株においてS-エクオールはPKAシグナルを活性化すること、インスリン分泌促進作用、細胞増殖促進作用、細胞死抑制作用を持つことを見出している。本年度は、(1)S-エクオールのインスリン分泌促進作用、増殖促進作用、細胞死抑制作用にGタンパク質共役型受容体が関与するかについて、(2)S-エクオールがマウス膵β細胞に作用するか否かについて検討を行った。 (1)膵β細胞株であるINS-1細胞において、GPCRをリン酸化して脱感作作用をもつGPCRキナーゼ(GRK)の関与を検討した結果、siRNAによるGRK3とGRK6のノックダウンにより、S-エクオールによるcAMP応答配列(CRE)を介した転写活性促進が亢進した。siRNAにより三量体Gタンパク質のGαsサブユニットをノックダウンするとS-エクオールによるCREを介した転写活性促進が減少した。さらに、Gαsのノックダウンにより、S-エクオールによるインスリン分泌促進作用、増殖促進作用、細胞死抑制作用は全て消失した。これらの結果から、S-エクオールはGPCRの活性化を介してINS-1細胞機能を亢進させることが示唆された。 (2)ICR雄性マウスの単離膵島を用いた検討により、S-エクオールはPKAの基質であるCREB(Ser133)のリン酸化を促進することが判明した。S-エクオール(20 mg/kg)を1日2回、7日間経口投与したICR雄性マウスでは、増殖の指標となるKi67陽性のβ細胞(インスリン陽性細胞)が増加することが判明した。これらの結果から、S-エクオールはin vivoにおいても膵β細胞へ作用することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S-エクオールの膵β細胞に対する作用に関して、培養細胞レベルで作用機構の解明に進捗がみられ、動物個体レベルでの効果が観察されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
S-エクオールが作用するGPCRの同定を試みる。2型糖尿病モデルマウスに対するS-エクオールの効果について検討する。
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Research Products
(7 results)