2015 Fiscal Year Annual Research Report
電子市場における取引者信頼度向上を実現する自動制度設計機構の開発
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15H02972
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
松尾 徳朗 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80433142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 桂英 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00625676)
福田 直樹 静岡大学, 情報学部, 准教授 (30345805)
高橋 里司 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40709193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 信頼形成 / 知能情報学 / エージェント / 広告配信 / スマートグリッド / 実験経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の実績として、研究目的である信頼関係向上の実証実験の予備的研究として、広告配信における勝者決定方式および電力資源分配方式について、制度設計を実施した。前者については、広告は読者にとって価値が認められることにより購買行動につながるため、それを実現するために複数の配置レイアウトが存在する際に、オークション方式での第一勝者が自らの価値を高める広告を指名し、競争入札を行うことで、指名された側にも指名者を評価する制度を開発した。これにより、配信される広告主にとって価値向上が可能なwin-winモデルとなり、また、広告スペース提供者対広告主ならびに広告主対広告主での信頼形成も見込める。また、価値向上の対価として、広告スペース提供者は以上のような二段階オークションを行うことでリベニューが改善される。後者については、スマートグリッドにおけるC2Bベースの電力売買におけるボリュームベースの価格提示に基づく割り当て決定方式を考案した。電力を割り当てられる企業や組織においては、まとまったユニットの電力を得る必要がある上に、ボリュームディスカウントによる購入を希望する場合もあるため、取引量に応じた価格の曲線が存在する。一方で一般家庭においても同様、販売量に応じた価格の曲線が存在する。そこで、これらの価格曲線をベースに勝者を決定し、スマートグリッドにおけるC2B取引を提案した。C2B取引において、一般家庭が恩恵を受ける企業などに優先的に販売することもあり、信頼関係が存在する場合と王ではない場合の分析、計算時間の短縮などが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度において実世界の電子経済の社会システム分析と信頼が成立していない状況の特徴づけに関連して、B2CやC2Cにおける取引とユーザ評価を分析し、信頼形成過程の解析を行った。特に、不正や非対称情報などに起因する信頼形成の失敗に着目し、既存の失敗の原因とそれらの改善手法について研究を実施した。実際のデータは使っていないものの、制度設計における手法の開発において、複数の手法を提案することができた。とりわけ、スマートグリッドにおける電力売買でのオークション方式を新規に提案した点、オークション方式の特徴づけが実施できた点、および広告配信における2段階指名競争入札に基づく価値向上を実現する電子商取引メカニズムを構築できた点が上げられる。また、研究成果の公表においては、国際会議「International Conference on Electric Vehicle, Smart Grid and Information Technology」、「KICSS 2015 International Workshop of Collective Intelligence and Crowd / Social Computing, 2015. 」を含めて複数の国際会議や国内学会で論文が発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に実験を実施し、それをベースに信頼情報可能な制度を設計することが本研究課題の中心的テーマである。そこで、実験の予備段階として、実際の取引者の特徴づけ、取引手法の理解、その他実験において課題となる項目を明確化し、実験の準備に取り掛かる。とりわけ、平成27年度に開発したメカニズムについての実用利用可能性について評価するとともに、理論上ではなく実際に利用した際に効果が保持されるかについて、シミュレーションならびに予備的実験を実施する。また、平成27年度に取り扱った広告配信およびスマートグリッドにおける取引メカニズムの改良および拡張、ならびにその他の事例を含めた取引メカニズムについても並行して取り扱う。実際上においては、合理的な取引者のみが経済活動に参加することはあり得ないため、シミュレーションや予備実験においては極端に合理的とは思えない値を用いたり、入札タイミングなどを変化させることで、それらがどのような影響を及ぼすかについても分析する。これらの研究の内容を複数の国際会議および論文誌に投稿する。国際会議としては、「KICSS 2015 International Workshop of Collective Intelligence and Crowd / Social Computing, 2016. 」や 「International Conference on Agents 2016」、国際論文誌としては、「Information Engineering Express」などを含む複数の論文誌に投稿を予定している。
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Research Products
(13 results)