2016 Fiscal Year Annual Research Report
電子市場における取引者信頼度向上を実現する自動制度設計機構の開発
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15H02972
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
松尾 徳朗 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (80433142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 桂英 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00625676)
福田 直樹 静岡大学, 情報学部, 准教授 (30345805)
高橋 里司 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40709193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子商取引 / 実験経済学 / 情報経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子市場におけるユーザ間の信頼性向上のための複数の理論的特徴づけを行い,具体的にユーザを支援できるシステムの試作を行なった.財の供給が動的な環境におけるオークションモデルに対する経済実験のデザインおよび予備実験を行った.動的環境のオークションに対して,Parkes[D.C.Parkes2007]は戦略操作不可能なオンラインメカニズムを提案している.本研究では,オンラインメカニズムの被験者実験を行い,特性を評価することを目的とした.動的環境のオークション実験は,既存研究が少なく,実験の設計,インターフェースのデザイン,分析手法の開発などを位置から行う必要がある.今年度は,それらの設計および,予備実験を行った.分析手法では,入力2項目のうちどちらが効率性の低下に影響しているかを分析するためのクロス分析手法を開発した.さらに,電子市場や議論掲示板,ソーシャルメディアなどテキスト情報とユーザの行動を結びつけるとことで,ユーザの価値が認められるテキストへの認知行動の解析が行える可能性がある.本年度は,議論掲示板の自動要約手法を提案し,実際の人間の要約と比較,解析することで,提案した自動要約手法の有効性を示すとともに,人間が要約文を判断する際の基準等の解析を行った.また,Twitterから自動的に注目されているTweetに対して,自然言語処理を駆使することで自動抽出することに成功し,トレンドとなるTweetにおける言語的特徴を明らかにした.また,高度電子商取引メカニズム実現の1つである高速かつ頑健な組合せオークションメカニズム実現に向けて,そのための割当て計算近似アルゴリズムの設計をさらに洗練し,性能解析により従来手法より高速化を実現できたことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンライン取引において用いられる取引プロトコルに関して,理論的に予備実験を実施するための特徴づけを行い,その結果,従来提案されているメカニズムにおいて,動的環境のオークションへの拡張と実用可能性について成果を得た.特に,効率性に着目し,その低下の影響分析と原因の検討を実施した.さらに,電子商取引においては,多様な言語データが用いられるため,ユーザの価値が認められるテキストへの認知行動の解析に着目して,要約された説明文の印象分析を実施した.さらに,従来におけるレモン市場を構成する状況とは性質が異なり,現代においては口コミのスピードが早く,市場において取引において誠実ではないユーザ自体が市場から淘汰される状況が存在するため,Twitterなどの口コミを機能させるシステムにおける取引者評価に関する発言の言語的特徴づけのための基本的分析を実施した.また,開発したプロトコルが実用に耐えうる点を考慮して,財の割り当てに関して計算近似アルゴリズムを開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
電子商取引における実験は,クローズな状況ではなくより現実的な状況を加味する必要があるため,継続的に取引者評価のための口コミ情報やオンライン取引システムに記載されている情報を十分に加味する必要がある.その上で,取引プロトコルの特徴づけだけではなく,取引者の取引への入退場,取引積極性,および他者からの影響を加味した取引意思決定に関する分析について,効率性,取引成功率などを含む指標において評価が必要と考えられる.さらに,取引後のユーザの行動がその後の取引にどのような影響を与えるかについて,口コミ情報や取引者評価情報が与える影響や購買行動についてより精密に分析を行う.なお,取引実験については,より一般化した状況を想定して継続的に実施することで,理論的特徴づけとのギャップや差異を明確にすることで,取引プロトコルや提供される取引情報の量や質に関して,これらを最適化できるプロトコルおよび情報公開手法について検討する.
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Research Products
(10 results)