2015 Fiscal Year Annual Research Report
極端気象下での高度に多層化した大都市の水害リスクとその対応策に関する研究
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15H02979
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸田 圭一 京都大学, 経営学研究科, 教授 (70273521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30283675)
尾崎 平 関西大学, 工学部, 准教授 (40351499)
石垣 泰輔 関西大学, 工学部, 教授 (70144392)
岡本 隆明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70599612)
宇野 伸宏 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (80232883)
山上 路生 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362458)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市水害 / 水害リスク / 地下浸水 / 水理実験 / 漂流物 / 被害軽減策 / 交通障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 都市水害のレビュー:過去に発生した,大都市中心部での水害事象をレビューした。2011年~2013年の大阪梅田での内水氾濫や,2012~2013年の名古屋市中心部の内水氾濫などに着目し,どのような豪雨により,どのような氾濫被害が生じたかを整理した。2001年の台湾,台北市での水害については詳細な資料解析を行い,地上のみならず,地下空間においても地下鉄軌道を通して浸水が拡がった事象について精査した。 2. 地上・地下統合型の氾濫シミュレーションモデルの開発と大都市中心部への適用:地上の氾濫モデルと,地下空間の氾濫モデルを統合化したモデルの開発を進めた。「地上の氾濫モデル」には,地上の氾濫水と下水道ネットワーク内の流れを同時に扱えるInfoWorks CS を活用したモデルを,「地下の氾濫モデル」には浅水流の二次元平面モデルを基にした統合型モデルを開発した。その統合型モデルを用いて,大阪市の中心部を対象域として,地下鉄軌道も考慮した氾濫シミュレーションを実施した。そして様々な外力による浸水特性の違いについて考察を加えた。 3. 地下浸水対策の検討:過去の事例や,解析結果に基づき,地下浸水への対応策についてハード・ソフトの両面から検討を行った。また地下空間のスペースの違いに対する対応策のあり方や自助,共助,公助の側面からも考察を加えた。さらに,脱着式の樹脂製止水板の有効性について,実物大の模型を用いて水理条件を様々に変化させた実験を実施して,その機能を確認した。 4. ゲリラ豪雨の発生を想定し,ナビゲーションシステムから豪雨,冠水注意などの情報が提供された場合のドライバーの経路選択について,統計的な分析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 降雨を中心とした外力に対して,地上・地下の氾濫の様子をシミュレートできる精緻な統合型モデルを開発することができた。このモデルを駆使することにより,今後,地下鉄を含む広範な領域での詳細な氾濫事象を解析することが可能となる。 2. 上記の統合型モデルにおいては,ハード,ソフト両面からの様々な被害軽減策をモデルに組み込むことにより,効果的な被害軽減策の検討を行うことができる。そして将来には,地域に応じた適切な適応案を提言することが可能となる。 3. 自動車や自転車での避難時の避難限界指標についても有益な知見を得ており,地上の氾濫解析とリンクさせて氾濫時の危険度評価を実施することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 氾濫時の車に作用する流体力の評価:氾濫流の発生場での漂流物としての車の挙動について,車模型を用いた実験を通して考察を進める。複数の車の流下過程を詳細に調べるとともに,車同士の衝突により生じる衝突力を求め,車に作用する流体力の実験を継続して実施する。また都市部でよく見られる地下駐車場での浸水を想定した水理模型実験もあわせて実施する。 2. 氾濫解析と都市中心部の危険度評価:氾濫解析結果に,漂流した車の危険性の分析結果,氾濫流下での徒歩避難,自転車避難の避難限界指標を援用し,激甚な豪雨による地上の氾濫時の危険性を明らかにする。氾濫流の浸水深,流速の時空間分布結果をもとに,車の漂流の可能性,漂流した車同士の衝突に起因する交通事故や,車の建物への衝突事象の予測,氾濫時の避難の困難度から生じる人的被害の発生可能性について考察を加える。 3. 地下浸水解析と地下空間の危険度評価:地下空間において,地上・地下空間を統合したシミュレーションモデルによる浸水解析を実施し,大規模な氾濫時の地下街や地下鉄を含む,広域な地下空間での浸水状況とその時間的変化を明らかにする。 4. 都市水害の被害軽減策の検討:開発したシミュレーションモデルの中に,下水道の排水能力増強,雨水貯留施設の整備といった様々な被害軽減策を組み込み,氾濫被害の軽減に有効な方策について考察を加える。また,地下浸水においては,浸水防止に有効な新たなタイプの止水板の実験検討もあわせて実施する。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] 地下空間の浸水とその対応策2015
Author(s)
戸田圭一
Organizer
2015年度日本建築学会大会(関東)
Place of Presentation
東海大学湘南キャンパス(神奈川県・平塚市)
Year and Date
2015-09-06 – 2015-09-06
Invited
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