2015 Fiscal Year Annual Research Report
早期糖尿病における蛋白漏出の機能的かつ遺伝子を含めた構造的解明
Project/Area Number |
15H03012
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10299183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10152365)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スリット膜 / Western Blotting / 微量アルブミン尿 / 早期糖尿病 / RT-PCR法 / ネフリン / ポドシン / CD2AP |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの我々の研究で、微量アルブミン尿が顕在化する前の糖尿病早期からラットにおいて糸球体から蛋白質などの高分子量物質が漏出しており、スリット膜構造が持続的に障害されることが判明している。蛋白の漏出を防ぐバリアは、糸球体内皮細胞、糸球体基底膜、ポドサイトの糸球体濾過障壁である。特に、足突起の間のスリット膜が濾過障壁として重要な役割を有する。スリット構造はpodocin、nephrin 、CD2AP 等の蛋白質で形成されており、糸球体における蛋白質漏出に関連していると推測される。本研究の目的は、糸球体スリット膜の構造変化が遺伝子のレベルでスリット膜を構成する蛋白質nephrin、podocin、 CD2APの変化をもたらしているのか、あるいは疾病によって蛋白質の変化を齎しているのかを解明することである。 実験にはWistarラットを用い、ストレプトゾトシン(STZ)を50mg/kg で誘発したI型糖尿病のDMラット、Controlラットを使用した。麻酔下のWistarラットの腎をメスで摘出し、その腎をホモジェネートし試料とした。RT-PCR法ではDNA構造変化の解析を行い、Western Blotting法では蛋白質podocinの解析を行った。その結果、ControlラットとDMラットの比較によりRT-PCR法では、遺伝子レベルでの蛋白質podocin、nephrin 、CD2APの差異がみられず、Western Blotting法によってpodocinの蛋白量に差異がみられた。 これらのことから、糸球体スリット膜の構造変化が遺伝子のレベルからスリット膜を構成する蛋白質に変化を齎しているのではなく、糖尿病そのものによって蛋白質の変化を齎していることが考えられた。スリット膜構成蛋白の減少が、スリット膜の構造変化に繋がり、糖尿病による蛋白漏出の原因の一つとなったと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共焦点顕微鏡倒立型アダプターを導入し、実験動物の自発呼吸による動きの観察画像への影響を、極めて少なくすることが出来た。また、このアダプターを用いての観察画像の解析も導入したデータベースシステムにより快適に処理出来る環境が整いつつある。 RT-PCR法、Western Blotting法による解析では、C-peptideを投与した際の解析には、至っていないが、この手法で現在解析を進めつつある。 全体的には、予定通りの進行である。
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Strategy for Future Research Activity |
コントロール、コントロール+C-peptide、糖尿病、糖尿病+C-peptideの群に分け、ネフリン、ポドシン、CD2APの発現変化を遺伝子のレベルで検索する。遺伝子変化の糖尿病の罹病期間との対応を見る。
ARBの投与によって、ネフリン、ポドシン、CD2APの発現がどのように変化するかを遺伝子のレベルで検索する。
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Research Products
(4 results)