2016 Fiscal Year Annual Research Report
隋唐燕楽歌辞の文学的・音楽学的アプローチによる双方向的研究
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15H03197
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長谷部 剛 関西大学, 文学部, 教授 (50308152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10313280)
橘 千早 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (60765410)
山寺 三知 國學院大學北海道短期大学部, 国文学科, 教授 (70352507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 燕楽歌辞 / 隋唐音楽 / 林謙三 / 敦煌曲子詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.長谷部剛と山寺三知の共編訳として『林謙三『隋唐燕楽調研究』とその周辺』を刊行した(関西大学出版部、2017年3月)。林謙三[著]『隋唐燕楽調研究』(1936年)は日本語原稿は失われ郭沫若の中国語訳しか現存しない。本書は、郭沫若の中国語訳に拠りつつも、長谷部と山寺が発見した林謙三直筆の未発表原稿「唐楽調の淵源」を最大限活用して『隋唐燕楽調研究』を日本語版を復元し、その他、林謙三の未発表原稿「唐楽調の淵源」、陳応時「『隋唐燕楽調研究』の新見解を論ず」等を付した。同書の発表によって、林謙三が解明するところの、隋唐燕楽の楽理とそれが形成された歴史的背景について明らかにすることができた。 2.林謙三の東洋音楽研究の再構築については、遠藤徹が催馬楽研究においてその資料整理と分析を進めた。遠藤は、佐伯市歴史資料博物館所蔵の『楽道筆記』に毛利壺邱の催馬楽譜を発見するとともに、林謙三旧蔵の『類聚歌曲秘譜』に収められる綾小路俊宗の催馬楽譜「伊勢海」の解読と復元を行った。その結果は、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター第47回公開講座「浦上玉堂と催馬楽~江戸時代の催馬楽と『玉堂琴譜』の催馬楽・復元演奏比較~」(2017年3月5日)において発表された。 3.長谷部剛と橘千早が敦煌曲子詞の訳注作業を進めた。具体的には、曾昭岷[ほか編]『全唐五代詞』を底本に同書正編巻四「雲謡集雑曲子」に収められる歌辞に点校・語釈・通釈を加える作業を共同で進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.長谷部剛・山寺三知共編訳『林謙三『隋唐燕楽調研究』とその周辺』の刊行は、本研究の最大の成果であり、同書が科研費受給期間中に刊行できたことは本研究が順調に進行していることのなによりもの証左である。 2.遠藤徹による、林謙三の東洋音楽研究の再構築についても、研究計画通りに、特に日本音楽の領域において、資料の整理・解読・再検討の作業が続けられている。 3.敦煌曲子詞の訳注作業についても、研究計画通りに、長谷部剛・橘千早の共同による訳注作業に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.長谷部剛・山寺三知が林謙三の隋唐音楽に関する未発表原稿を整理・翻刻し、公刊の準備を進める。また、長谷部は林謙三旧蔵の東洋音楽研究関連資料の関西大学図書館への収蔵作業を進める。 2.山寺三知・遠藤徹は林謙三旧蔵の東洋音楽研究関連資料の評価作業に加わる。 3.長谷部剛と橘千早は敦煌曲子詞の訳注作業を進める。
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Research Products
(12 results)