2016 Fiscal Year Annual Research Report
会話における文脈理解力の発達要因の解明:「気になる子ども」に届く言葉がけのために
Project/Area Number |
15H03450
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 語用論 / 母子会話 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症の就学児童を対象に、アイトラッカーを用いた話者の信頼性判断課題を実施した。話者の話し方によって信頼性の評価が変わるかどうかを検討するために、標準語話者と、方言話者のどちらが提供する情報をより信頼するかを調べた。その結果、自閉スペクトラム症の児童は標準語話者をより信頼することがわかった。コントロール群の定型発達児はとくにどちらかをより信頼するということはなかった。
自閉スペクトラム症の幼児と母親の会話データを収集し、共同注意場面について解析した。日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の身振り得点の低得点群と高得点群の比較をしたところ、低得点群は反応型共同注意(母親からのはたらきかけに対して注意を向ける)が多く、高得点群は主導型(自発的に子どもから注意を向ける)が多くみられた。また、低得点群の母親の発話には指さしが多く伴っていた。その一方で、自閉スペクトラム症幼児の身振り得点と母親の発話機能には有意な関連は見られなかった(篠沢他,2017)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイトラッカーを用いた実験的調査と、母子会話のデータ収集と解析の両方で自閉スペクトラム症児の日常的なコミュニケーションの特徴を明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
自閉スペクトラム症の情報の信頼性判断に関する実験的調査は、就学前児童にまで広げて実施する予定である。
また標準語話者と方言話者のどちらの情報をより信頼するかという調査は、方言を使う地域に住む自閉スペクトラム症児を対象に実施する計画である。
母子会話のデータ収集、分析は、これまで3歳のデータに限られていたが、参加児が5歳になったときに再度データ収集と分析をし、縦断的な研究につなげていきたいと考えている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] The role of prosody and context in sarcasm comprehension: Behavioral and fMRI evidence.2016
Author(s)
Matsui, T., Nakamura, T., Utsumi, A., Sasaki, A.T., Koike, T., Yoshida, Y., Harada, T., Tanabe, H..C., & Sadato, N.
-
Journal Title
Neuropsychologia
Volume: 87
Pages: 74-84.
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-