2016 Fiscal Year Annual Research Report
国際連携研究を土台とした生活者育成をめざすレッスン・スタディのモデル構築
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15H03505
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
貴志 倫子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60346468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 紀子 大阪体育大学, 教育学部, 特任教授 (90212597)
井元 りえ 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (30412612)
一色 玲子 安田女子大学, 家政学部, 助教 (30582241)
亀井 佑子 愛国学園短期大学, 家政科, 教授 (90557331)
鈴木 真由子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60241197)
羽根 裕子 名古屋文化短期大学, 家政学部, 准教授 (00748098)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 各教科の教育 / レッスン・スタディ / 責任ある暮らし / 生活者育成 / 家庭科 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.世界の学力論を元にした「責任ある暮らし」を実現する生活者に必要な能力についての整理として,DeSeCoのキー・コンピテンシーや国立教育政策研究所「21世紀型能力」等を参考に①技能・技術の活用,②知識・情報の活用,③批判的思考・意思決定・問題解決的思考,④コミュニケーション能力・協働する力,⑤より良い生活を自律的に計画・活動する力を抽出した。全国規模の家庭科研究組織の報告書に掲載の授業32事例と5つの能力の関連を分析し,学校段階による学習の深まりと広がりが確認された。
2.家庭科カリキュラムおよびレッスン・スタディの国際調査として,各国の家庭科教育研究者と実践者を対象に質問紙調査を実施した。質問紙回収時,面接により内容の詳細を聞き取り,面接不能であった場合,後日Eメールを通じ補足情報の内容確認を行った。13カ国についてデータを得た。家庭科の教育課程の分析結果より,カリキュラムは,①家族や家庭生活の内容を包括した知識や技術の習得と問題解決力育成を目指す型,②食,消費,環境領域を中心とした実践的な知識,技術習得と市民育成を目指す型,③主に食やテキスタイルをテクノロジーの視点から学ぶ型に分けられた。教師の協働によるレッスン・スタディについては,調査対象13カ国中,米国の一部,アイルランド,イングランドを除きほとんど行われておらず,日本からの情報発信が望まれていることが明らかとなった。
3.家庭科における授業研究のモデル検討と試案実施のために,授業研究経験のある教員への面接調査および授業研究の事例分析を行った。これまでの研究成果とあわせ,教師の成長と授業改善の面から望ましい授業研究モデルの要素として協働性,平等性,継続性を抽出した。国際連携のため各国カリキュラムに共通する消費生活をテーマとし,研究協力者の中学校教諭との協働による授業研究を試行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,グローバルな視野から責任ある生活者に必要な能力を明らかにするとともに,その生活者育成のためのカリキュラムと実践のためのレッスン・スタディのモデル構築を国際連携の下で実現することを目的とし,次の6点を明らかにすることをめざしている。1)世界の授業研究の動向把握,2)「責任ある暮らし」を実現するための生活者に必要な能力の整理,3)国内外の生活者育成に関するカリキュラムの収集,分析と教育課題の把握,4)各国の授業研究の実際と日本の家庭科における授業研究への関心の国際調査,5)生活者育成のレッスン・スタディのモデル試作と実施およびその国際的検討,6)以上をもとにした,生活者育成をめざす教師の授業力向上のためのレッスン・スタディのモデルの提案と発信。
このうち,1)~4)について当初計画通りに終え,本年度までにその成果報告を学会発表により行い,一部は論文投稿審査中である。5)についてモデル試作を終え,現在,国際的検討の場として平成29年8月に実施する国際カンファレンスの企画,準備に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究成果を国内外で発表する。8月に実施する国際カンファレンスにおいて,海外3カ国の家庭科教育関係者を招へいしレッスン・スタディのシンポジウムを行うとともに,レッスン・スタディのモデル試案を基にしたワークショップを行う。
国際カンファレンスの実施および国際学会への参加により各国の家庭科教育のキーパーソンとの交流を深め,諸外国との授業研究を通した具体的な研究推進を検討する。国際連携をはかり、レッスン・スタディのモデル構築に発展させる計画である。
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Research Products
(3 results)